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不動産投資のシミュレーションはどうすれば良い?エクセルやツールの使い方を徹底解説!
2023年2月17日不動産投資にはシミュレーションが重要です。ただ、不動産用語や税金など普段関わりの少ない用語や計算方法に不安があって挑戦しにくいと感じている方もいるのではないでしょうか。
しかし、きちんとしたシミュレーションをせずに不動産投資に踏み切ることは大変危険です。不動産投資では「空室」「滞納」「突発的な修繕」などのトラブルは避けて通れませんが、事前にシミュレーションしておくことでリスクヘッジは可能です。
この記事では不動産投資の正確なシミュレーションを行うための基本的な知識を説明しています。難解に思われる用語も理解すれば使えるようになります。ぜひ参考にして不動産投資を成功につなげましょう。
目次
不動産投資でシミュレーションを行うわけ
高額かつ長期間の運用となることが多い不動産投資には計画性が大切です。そのためには具体的な数字を出して検討できるシミュレーションが不可欠です。必要な自己資金・起こり得るリスク・収益性などを数字で確認し、その物件へ投資する価値を見極められます。
不動産投資に失敗する主な原因は買う物件を間違えてしまうことだといわれています。シミュレーションをせずに投資物件を購入するのは大切なお金を無駄にしてしまうことにもなりかねません。
それぞれの収支を把握して最適化することで利益を得ることが可能になる場合もあります。シミュレーションをすることでその物件には投資の価値があるのか、経営することで利益を生む可能性があるのかを判断できます。
シミュレーションに欠かせない2つの原則
不動産投資のシミュレーションではどのやり方を採用するかによって結果が変わってしまいます。正確なシミュレーションを行うために欠かせないのは「不確実性をなくすこと」と「複数回のシミュレーションを行うこと」の2つです。
不確実性をなくす
長期間の運用が一般的な不動産投資では、将来を予測するにあたって不確実性が伴っています。不確実性とは不確かな事象のことです。シミュレーションでは不確実性をなくすことが求められます。なぜなら、不確実性をなくせばより確実な計算ができ、リスクを最小限にすることに繋げられるからです。
不動産価格・空室率・設備の故障などが不確実な事象になります。シミュレーションの項目を確実なものと不確実なものに区分し、不確実な項目は最悪の事態を想定した数字にするとリスクの軽減が期待できます。
現実に近い数値を導くためには数字やデータを使ったシミュレーションを行い、不確実性をなくすことが大切です。
パターン別で複数回シミュレーションを行う
パターン別で複数の条件を設定することも大切です。不確実な要素の多い不動産投資では将来の状況を正確にとらえることは困難です。
1回の計算では結果もひとつしか出ず、そのひとつの結果が未来を確実に示しているわけではありません。さまざまな条件により結果が変わるので、その中からより可能性が高いと思われる結果で判断すると良いでしょう。
たとえば物件管理にはさまざまな経費が必要ですが、経年劣化や突発的な損傷などによるメンテナンス費用は上昇することが考えられます。あらゆる条件でシミュレーションすることはリスクを軽減することにもつながります。
適用金利の上昇・空室率・諸経費率など、考え得るさまざまな条件で複数回のシミュレーションを行うことが重要です。
シミュレーションに必須の基本知識
不動産投資のシミュレーションを行うにはさまざまな項目があります。シミュレーションツールへの入力や結果の確認にも使う不動産用語は必要不可欠な知識です。
まずは不動産にどのような種類があるのかを知っていきましょう。
不動産の種類
不動産の種類には新築と中古があり、マンションにも区分マンション・一棟マンションの分類があります。
新築物件は入居者が集まりやすいのがメリットですが、物件そのものが高額であるため利回りが低くなることがデメリットと言えるでしょう。反対に中古物件はコストパフォーマンスに優れていますが、建物や設備の老朽化にともなう費用や空室が多くなるリスクがあります。
区分マンションとは部屋単位で所有することであり、一棟マンションは名前の通り一棟全体を所有することです。一棟マンションはコストが高いですが、土地を担保にできるので銀行からの融資を受けやすいのがメリットです。
それぞれにおいてメリットとデメリットがあるので、自分に向いているものを判断しましょう。
資金に関する用語
資金に関する不動産用語には以下のものがあります。
諸経費率 | 家賃収入に対する経費の割合。諸経費とは管理費・修繕費・修繕積立金・固定資産税などのこと。 目安としては一般的に15〜20%といわれますが、経年劣化により諸経費率は上昇する傾向にあります。 |
頭金 | 不動産価格からローンの借入金を引いた金額。融資を受けるための審査に影響あり。物件価格の30%程度が理想。 |
借入金額 | 借り入れたローンの総額。「借入額」とも呼ばれる。 |
借入金利 | 借り入れたお金に対する手数料割合。変動金利だと情勢により金利が変わります。 |
ローン年数 | ローンを返済するまでの年数。物件の法定耐用年数や契約者の信用度により年数が決まる。 |
毎月の返済額 | 月々に返済する金額。借入金額。ローン年数・金利によって異なる。 |
年間の返済額 | 1年間に返済する金額。キャッシュフローに影響あり。 |
返済総額 | 借入金額と利息を合わせた支払い総額。 |
不動産投資のシミュレーションではこれらの項目に数値を入れて結果を見ます。
家賃に関する用語
次に家賃収入に関する用語を紹介します。
想定平均月額家賃 | 毎月の平均家賃収入額のこと。空室率を加味して計算する。 |
年間家賃収入 | 家賃収入の1年間の合計額。 |
年間諸経費 | 諸経費の1年間の合計額。管理費・修繕費・修繕積立金・固定資産税など。 |
年間支出 | ローンの年間の返済額と年間諸経費を合計した金額。 |
年間手取り | 年間収入から年間支出を引いた手取り金額。キャッシュフローのこと。 |
表面利回り | 物件価格に対して1年間で得られる家賃収入の割合のこと。
諸経費や維持費は考慮していないので、実際の収益性は測れない。グロス利回りとも呼ばれる。 |
実質利回り | 実際にかかる諸経費や維持費なども含めて計算する利益率のこと。
NOI利回りとも呼ばれる。より現実に近い試算ができる。 |
返済後利回り | 諸経費に加えてローン金額も含めた利回りのこと。 |
以上の項目に正確な数値を入れることでより正確なシミュレーションに近づけられます。ひとつの項目の数値が変わるだけで結果が大きく異なる場合もあるので、ひとつの結果に縛られないことが大切です。
シミュレーションの流れ
不動産投資のシミュレーションを正確に行うための流れを確認していきましょう。まずは情報を集めることが必要です。
- 物件情報を集める
- 購入費用を知る
- 周辺エリアの相場を知る
これらをふまえてシミュレーションを行うと良いでしょう。
物件情報を集める
不動産物件の情報を可能な限り詳細に集めましょう。物件をどのように運用するかで収益が変わるので、購入費用だけでなく土地や建物の特徴・諸費用・管理費・税金などのデータも調べることが大切です。
一棟マンションであれば建物の資産価値が落ちてしまっても土地の資産価値が残るので、売却時のキャピタルゲインを考慮できます。建物の広さや構造、過去の修繕履歴があれば大規模修繕費を見込みやすいでしょう。
周辺情報をリサーチして家賃相場を知っていれば適切な家賃の把握ができ、間取りと過去の入居期間からは空室率と家賃下落の予想に役立ちます。ワンルームマンションであれば入退去が早く入居期間も短めになります。一方、ファミリータイプは入居に苦戦しやすく空室期間が長くなりがちであるものの、長期間の入居が期待できるでしょう。
物件を購入する際には不動産取得税がかかります。加えて、土地や建物に毎年課せられる固定資産税も計算しておきましょう。固定資産税は物件価格の70%を目安とした固定資産評価額から計算します。固定資産評価額の1.4%が固定資産税額です。土地の評価額は上下しますが、建物は経年劣化により下がる傾向にあります。これにより固定資産税額も変動します。
購入費用を知る
物件を購入する際にはさまざまな諸費用が別途かかります。シミュレーションでいう購入金額とは諸費用も含めた額です。諸費用には次のものがあります。
- 印紙税
- 登録免許税
- 仲介手数料
- 不動産取得税
- 保険料
- 固定資産税及び都市計画税の精算金
それぞれの計算方法において算出する必要がありますが、物件価格の7%〜10%が目安となると言われています。登録免許税は登記をするのにかかる税金のことで、司法書士にお願いするなら司法書士費用も必要です。
また、固定資産税及び都市計画税の精算金は、購入する年の固定資産税や都市計画税を所有日数で日割りして売主と買主で分担したものです。一般的な固定資産税や都市計画税とは違い、毎年納税するものではなく、不動産購入時のみに支払います。
周辺エリアの相場を知る
購入物件を検討するときは、周辺エリアの同条件の物件の調査を徹底的にしましょう。空室率がわかれば見込み空室率が想定でき、正確なインカムゲイン(家賃収入)を割り出せます。同条件の物件の売価を調べておくとキャピタルゲイン(物件を売却した場合に得られる売買差益)の見込みもできます。
また、立地条件が成功のカギになることも多いので、立地環境や競合物件の調査は重要です。検討している物件の周辺で人気のある間取りや家賃相場を知ることで適切な家賃設定ができます。そこから「家賃収入」「想定空室率」「諸経費率」などを設定していくことで、運用可能な物件かどうかを正しく判断できるようになります。
周辺エリアの情報を集め、相場を知ることは正確なシミュレーションにつながるのです。
地価は全国地価マップで知ろう
シミュレーションには可能な限り詳しい情報が必要です。なかでも「地価」は一棟マンションを選ぶ際に必要なので、購入を検討しているなら知っておく必要があります。しかし、膨大な物件の情報を歩いて探し回るのは時間も手間もかかってしまいます。まずは、物件情報の調査ができるWebサイトから調べていくと良いでしょう。
「全国地価マップ」は公的土地評価情報が確認できるサイトです。固定資産税路線価・相続税路線価・地下公示価格・都道府県地価調査価格を調べることが可能です。
このサイトは一般財団法人資産評価システム研究センターが提供しており、国土交通省が運営するwebサイトとは異なる場合もあるので注意しましょう。
シミュレーションを行う
ここからは実際にシミュレーションをしてみましょう。専用ツールを使うと便利で簡単です。さまざまなツールがあるので迷いがちですが、おすすめのものを紹介するので使いやすそうだなと感じるものを試してみてください。
おすすめのシミュレーションツール7選
ここまでシミュレーションに必要な知識や方法を説明しました。おおまかにはわかっていただけたのではないでしょうか。ここからはおすすめのシミュレーションツールをご紹介します。簡単にできるものもあるので、さっそく利用してみましょう。
アパート一棟買いLite
- 数十年にわたる不動産運用の収支計算ができる
- 計算結果を表とグラフにできて見やすい
- 最低限の情報でのシミュレーションが可能なので手軽
「アパート一棟買いLite」は収益不動産の収支分析を行うiOSアプリです。簡単な情報を入力するだけで手軽に収益計算ができ、計算結果は表とグラフで確認できるので数字が苦手でもわかりやすく視覚的に把握できるのが特徴だと言えるでしょう。
無料で利用できるので試しに検討してみたいという方にもぴったりです。もちろん、プロの仲介業者の方でも使えます。
最低限必要なのは、物件情報・想定家賃・融資額・融資期間・金利のみなので、簡単にシミュレーション可能です。物件の耐用年数を入力すれば減価償却費の考慮も可能で、税引後のキャッシュフローも簡単に把握できます。
物件購入時の検討に使用するのはもちろん、現在運用中の方の収支分析にも使えます。簡単な入力でシミュレーションができるので、初心者の方でも使いやすいアプリです。
検証効率UP!不動産収支計算機
- 計算結果の保存ができる
- シンプル機能でサクサク動く
- iPhoneで手軽にできて無料
iPhoneで手軽に不動産投資の収支計算をするなら「検証効率UP!不動産収支計算機」がおすすめです。物件価格・想定年収・自己資金・借入期間・諸費用率・空室率・金利の7項目を入力することで、家賃収入・諸経費額・返済額・各種利回りが数値で表示されます。
計算結果は保存が可能で、テキスト出力されるのでコピペもできるという、シンプルで機能的なアプリです。細かい設定はできないものの、物件の検討時などにスピーディに収支計算をしたいときに重宝します。初心者でも使いやすいでしょう。
アプリの動作が軽く、思い立ったらすぐに計算して保存することができるので、メモ的な使い方をしたい方にもおすすめです。これから不動産投資をしようと思っている方は、多くの物件のシミュレーションを手早くできて便利です。iPhoneかiPadで利用できるアプリです。
IRRによる不動産投資収益計算Excelシート(Lite版)
- 不動産投資に必要な要素がすべてそろっている
- 大手仲介業者にも愛用されている
- 詳細なシミュレーションができる
「IRRによる不動産投資収益計算Excelシート(Lite版)」は大手仲介業者やファンド関係者にも愛用されている収益評価用Excelシートです。投資用不動産を専門に扱う不動産コンサルティング会社が作成しているので安心して使用できます。
IRRとは内部収益率のことで、購入した不動産を売却した場合に得られる収益の割合のことを言います。このツールは不動産を売却する時期を検討できることが特徴です。
入力項目は26項目あり、基本的な項目に加えて平均入居年数・平均募集期間・費用まで対応しています。不動産投資に必要な要素がすべてそろっており、多くの不動産投資に関わる要素を使って計算できるので確実性の高い詳細なシミュレーションを行えます。
幅広い入力項目があるので少しシミュレーションに慣れた中級レベルの方が細かく検討するのに最適です。
キャッシュフロー計算ソフト
- 入力が簡単で初心者でも扱いやすい
- ローン返済額の推移がわかりやすい
- ソフトの容量が小さいので立ち上げにストレスがなく手軽
簡単な入力で空室率ごとのキャッシュフロー・ローン返済額の推移・課税所得額を比較して確認できます。ローンの条件は35年を設定することもできるのが特徴です。
入力項目は13項目と少なめで、非常にシンプルになっており使いやすいのがポイント。容量が軽いのですぐにソフトが立ち上がり、ストレスなく手軽にシミュレーションができます。別シートで表示されるローン返済額は元金と利息で分けられており、経費の試算に使えて便利です。
課税所得額とキャッシュフローは経年表示ではなく、空室率ごとに5%・10%・20%・30%の場合が表示されるようになっています。空室率を経年による賃料ダウンと見立てればリスクの把握も可能です。
使いやすいのでこれから不動産投資に挑戦しようとしている初心者の方におすすめします。
不動産投資DCF法レバレッジ方程式(無料版)
- 詳細な表やグラフで客観的な評価ができる
- 中級〜上級者向けのマクロを使用したツール
- 収益還元法(DCF法)による不動産の分析ができる
詳細なデータ分析で不動産を客観的に評価するのに最適です。分析結果サマリー・減価償却表・ローン返済表・IRR感応度分析・長期予想グラフ・キャッシュフロー詳細が確認できます。あらかじめ組み込まれた物件のサンプルデータにより不動産ごとの比較が簡単にできるところもポイントです。
詳細なデータ分析とグラフで客観的な評価ができるのが特徴です。不動産の価値を正確に計算するDCF法のツールであり、さまざまな角度から不動産を分析します。
データは最大200件まで登録できるので安心です。キャッシュフローの詳細設定や印刷は無料版ではできない仕様となっていますが、無料とは思えない操作性や美しさを備えています。
詳細な説明書付きなので入力に迷ったときはすぐに確認できて便利です。マクロを使用しますが、わかりやすいデザインであるうえ入力項目も基本的なものが多いので使いやすいツールだと言えるでしょう。
アパート経営シミュレーション エクセルVBA
- キャッシュフローやローン残高の推移が10年後まで確認できる
- 物件の健全性やローンの安全性を確認できる
- データをCSVで保存することができる
上級者向けの本格的なシミュレーションツールです。詳細な内訳があり、キャッシュフローやローン残高の推移を10年後まで確認できるので、収益予測に便利です。キャッシュフロー・LTV(物件借入比率)・DCR(借入償還余裕率)・BER(損益分岐入居率)がわかります。数値とグラフで確認でき、物件の健全性やローンの安全性をチェックできます。
入力項目が多く専門用語も使用していますが入力時に迷わないようにコメントが入れられているので安心です。
簡易シミュレーション・年次レポート・入居管理・長期予想グラフ・減価償却表・IRR感応度分析が確認できます。入力時の手間がかかるので複数の物件を検討するのには向いていませんが、検討している物件があるなら詳細な年次レポートは重宝するでしょう。
VALUE AI
- 人工知能AIによるシミュレーション
- 木造のシミュレーションもできる
- 出口戦略によって異なる結果もシミュレーションできる
人工知能AIによるシミュレーションツールです。インカムゲインやキャピタルゲインなど、30年先までシミュレーションできます。入力項目のひとつである「取引のタイプ」では「購入」「売却」「保有」の3種類から選択できるので、出口戦略によるシュミレーションが可能です。
AIが導き出した綿密な計算結果をエクセルに出力することも可能です。運用費用・純営業収益・年間のローン元利返済額・ローン残高・減価償却費・将来の売却価格など多くの項目が確認できます。
入力項目は取引のタイプ・物件のタイプ・物件名・築年月など13項目ですが、難しさは感じません。初級レベルでも問題なく使用できるツールです。
これまでエクセルに手入力をして収支計画を立てていた方やこれから不動産を運用する方に有用なツールとなりそうです。
シミュレーション後はプロに相談を
ここまでシミュレーションについてご紹介してきましたが、あくまでも例なので参考値として活用することが大切です。不確定要素が多く、金融機関の知識や正確な物件情報など、個人では入手しづらいものも必要となることがあります。素人が正確なシミュレーションを行うのは難しいことも事実です。
実際に投資を行う際は必ずプロに相談し、シミュレーションツールでは拾いきれない不確実な事象やリスクへの対応など的確なアドバイスを得ることも成功につながる近道です。
まとめ
不動産投資のシミュレーションには正確な情報収集が欠かせません。さまざまなツールがあるので、初心者でもこれらを利用することで運用の見通しを立てることは可能です。できる限りの情報を集めて、より確実性の高いシミュレーションを行うことが大切です。
シミュレーションで得た算出結果が正確なものとは限りません。収益の確実性を高めるために、マンション経営のプロにも相談しながら物件を選ぶと良いでしょう。