「フレッツ光全戸加入プラン」とは?メリットや申込方法など徹底解説
2023年2月22日「フレッツ光全戸加入プラン」とは、集合住宅の大家さんが全部屋のインターネット契約を一括で行い、入居者が無料で利用できるサービスとなります。インターネットを無料で利用できることで、物件価値が高まり入居するメリットを感じやすい点がある一方で、事前に情報収集をしてデメリットを理解しておくことも重要です。
「フレッツ光全戸加入プランの料金が気になる…」「契約するにあたって、どこに申し込めばいいのかわからない」そのような不安を感じている大家さんもいるかもしれません。
そこで本記事ではそのような不安を解消するためにフレッツ光の申し込み方法を徹底解説していきます。
フレッツ光全戸加入プランの申し込み方法から、メリット・デメリットを理解しておくことで、不安を感じずスムーズに導入することが可能です。インターネット無料物件を検討している大家さんはぜひ参考にしてください。
目次
そもそも「フレッツ光全戸加入プラン」とは?
「フレッツ光全戸加入プラン」とは、「ひかり配線方式」で全戸へNTT西日本の光回線を配線・提供するサービスです。パソコンやスマホの普及に伴って、インターネット無料物件は入居者にとって大きなメリットとなり、物件選びの候補になります。
フレッツ光全戸加入プランの概要を理解して、導入を検討してください。
光回線を全戸へ配線・供給するサービス
「フレッツ光全戸加入プラン」は、集合住宅の全部屋に光回線を導入するプランとなります。すべての部屋に「ひかり配線方式(専有型)」という方法で、光回線を1本ずつ引き込み、安定したインターネットサービスを供給することが可能です。
また、「ひかり配線方式(専有型)」の他にも「LAN方式」や「VDSL方式」など、すべての部屋に回線を引き込むのではなく、1本の回線を入居者でシェアする方法もあります。
「LAN方式」や「VDSL方式」では各部屋に配線が供給されずにすべての住居で共有するため、安定した回線供給であれば「ひかり配線方式(専有型)」がおすすめです。「ひかり配線方式(専有型)」で、各部屋に1本ずつ配線を引き込むことにより安定したインターネットサービス供給が実現しています。
6戸以上で導入できる
「フレッツ光全戸加入プラン」を導入する際のポイントは以下の通りとなります。
- 居住の有無を問わず、設置場所数が6戸以上であれば導入可能
- 1Gbpsの高速光回線
- 管理人室を含めた全戸に供給可能
「フレッツ光全戸加入プラン」は、6戸以上の集合住宅が対象で、管理人室を含めた全戸に供給可能です。また、居住の有無を問わず全部屋に配線方式で供給できるので、入居者の引っ越し時に再度工事を行う必要がありません。
空部屋でも光回線を繋げられるため、突然の入居が重なった場合でもインターネット工事で慌てる心配がないのは嬉しいポイントです。
「フレッツ光全戸加入プラン」のメリット
「フレッツ光全戸加入プラン」ユーザーのメリットは、インターネットが安く使える点です。
通常、「フレッツ光」のマンションタイプを個人で契約した場合、世帯数や設備・プロバイダによっては約3,500〜5,500円ほどかかります。すでに入居している集合住宅が「フレッツ光全戸加入プラン」を導入して、管理費や共益費が月2,000円増えたとしても、個人契約より料金負担は少なく、入居者にとっては嬉しいポイントです。
また、 全国賃貸住宅新聞の「入居者に人気の設備ランキング2022」では、以下の結果が出ています。
【単身者向け】
1位 | インターネット無料 |
2位 | エントランスのオートロック |
3位 | 高速インターネット |
4位 | 宅配ボックス |
5位 | 浴室換気乾燥機 |
【ファミリー向け】
1位 | インターネット無料 |
2位 | 追い焚き機能 |
3位 | エントランスのオートロック |
4位 | 高速インターネット |
5位 | システムキッチン |
提供元:全国賃貸住宅新聞社「入居者に人気の設備ランキング2022」
パソコンやスマホの普及率が増えたほかに、在宅ワークが急増した影響から、入居者がインターネット関連を気にかけているのがよくわかります。ネット環境が必要な電化製品も増えてきていることから、インターネット無料物件の需要は年々高まるでしょう。
空室対策になる
全国賃貸住宅新聞の「入居者に人気の設備ランキング2022」からも読み取れるように、インターネット完備の物件は、入居者にとって大きなメリットとなります。入居先の候補としてインターネット無料はとても魅力的なポイントの1つとなり、結果的に集合住宅の空室対策に繋がるでしょう。
インターネット完備の部屋であれば、入居してから個人で手間のかかる回線契約をする必要がなくなるうえに、無料もしくは家賃に組み込まれているので、物件選びの最大のメリットにもなります。ネット完備の集合住宅で物件価値をあげることが、入居者の満足度をあげると同時に空室対策としても大切なポイントです。
長期入居に繋がることも
「フレッツ光全戸加入プラン」を導入することで、物件価値があがるだけでなく入居者の満足度向上に効果的で長期入居する理由の一つとなります。入居時すでにネット環境が整っていて、何かと手間がかかるネット回線契約を個人でしなくて済むというのは入居者にとっては大きなメリットです。
また、インターネットが無料であれば、本来ネット契約で年間5万円ほどかかっていたコストを浮かせることにも繋がり、経済面の負担軽減にも役立ちます。インターネット環境を初期設備として導入することで、入居者の自己負担が大幅に減り、長期入居に繋がるでしょう。
近隣物件と差別化が図れる
「フレッツ光全戸加入プラン」の導入によって、近隣の物件と差別化を図ることができます。
たとえば、東京の全賃貸物件1,435,707件のうち、ネット無料物件は373,858件で全体の26%しかないといわれています。日本の空き家率の上昇は深刻化していますが、インターネット完備の物件を用意することで、近隣物件との差別化が図れるため入居率のアップが期待できるでしょう。
「フレッツ光全戸加入プラン」のデメリット
「フレッツ光全戸加入プラン」は、大家さんや入居者にとってメリットが大きい反面、注意しておきたいデメリットもあります。
- 現在加入しているプロバイダは解約する必要がある
- 「フレッツ光」以外の回線の場合解約金が発生することがある
- オプション加入は住居者負担になる
インターネットサービスを快適に利用するために、事前にデメリットを理解しておくことはとても重要です。こちらでは上記3点のデメリットを詳しく解説します。「フレッツ光全戸加入プラン」を検討している方は、ぜひ参考にしてください。
現在加入しているプロバイダは解約する必要がある
「フレッツ光全戸加入プラン」では、利用できるプロバイダが3社となるため、現在使用しているプロバイダと異なる場合は解約をしなければなりません。
プロバイダとは回線とインターネットを繋げる業者のことで、光回線を引いていてもプロバイダを変更しなければ、インターネットが無料で使えない状況になってしまいます。
入居時に「プロバイダ解約が必要になるかもしれない」ことや「フレッツ光回線であること」を入居者に伝えておくことで未然にトラブルが防げます。
「フレッツ光」以外の回線の場合解約金が発生することがある
「フレッツ光」の回線を利用するために、他社プロバイダ解約をする必要がありますが、解約するにあたって気を付けなければいけないポイントがあります。
契約途中のプロバイダ解約は違約金が発生する場合があり、状況によっては入居者とのトラブルの原因にもなりかねません。
- 入居時に「フレッツ光回線」であることを入居者に伝える
- 違約金がかからない更新月などに、解約をしてもらうよう説明する
- プロバイダ解約で違約金が発生した場合の取り決めを事前に行っておく
金銭が絡む問題のため、事前にルールを決めておくとトラブル発生時でもスムーズに対処できます。
また、入居する際に「プロバイダ解約で違約金が発生した場合は、大家負担」や「プロバイダ解約時の違約金は入居者様ご負担」などを明確に提示することで、トラブル発生時でもスムーズに対応が可能となります。
オプション加入は住居者負担になる
「フレッツ光」には、数種類のオプションがあり、それぞれに料金設定がされています。オプション加入に関しては、大家さんが負担するのではなく、オプションが必要だと感じた入居者がご自身で申し込みをして料金を支払う必要があります。
オプション加入についても、入居時に「オプションは入居者様ご負担」と伝えておくことで未然にトラブルを防ぐことが可能です。「フレッツ光」を導入していることや、回線を利用するうえでの注意事項などをまとめて入居時に提示することで、安心してインターネットサービスを利用することができるシステムが構築されます。
オプション一覧
「フレッツ光全戸加入プラン」の各オプションは以下の通りとなります。
オプション | 月額料金 | 機能 |
ひかり電話 | 500円 | 固定電話サービス |
リモートサポートサービス | 500円 | 遠隔電話サポート |
フレッツウィルスクリア | 400円 | PCウイルス対策 |
フレッツあずけーる | 100GB/500円 | 画像クラウド保存サービス |
入居者が必要だと感じたオプションに関しては、ご自身でお申込みいただきオプション料金も入居者の負担となります。
IPアドレスが変わる可能性がある
利用の際のグローバルIPアドレスは、固定ではありません。一度インターネット接続を終了してから再度接続を行うと、新しいIPアドレスが自動的に割り当てられます。
固定IP割り当てサービスで割り当てられるIPアドレスは、接続コースによって異なるため、接続コースを変更する場合は、固定IPアドレスの切り替えを行う必要があります。
例:ADSL→フレッツ光への変更など
変更前の接続コースが利用できなくなった時点で、ご利用になっていた固定IPアドレスは自動的に解約されます。
「フレッツ光全戸加入プラン」は誰がどこに申し込む?
メリットが多いので導入を検討しているけど、どこに申し込めばいいのかわからない大家さんもいるかもしれません。こちらでは、「フレッツ光全戸加入プラン」を誰がどこに申し込めばいいのかを詳しく説明します。
大家さんが一括で全戸分を契約する
通常の「フレッツ光」は入居者が個人で契約しますが、「全戸加入プラン」は大家さんが全戸分を一括で契約して、料金も全額支払います。全戸加入プランは初期費用に、契約料と初期工事費が含まれ、相対契約のため詳しい初期設定内容に関しては公開されていません。
大家さんだけ損しているように感じますが、無料のインターネット環境を入居者に提供することで、入居者集めが容易になり、長く住んでもらえるのでメリットがあります。
NTT受付センターに直接申し込む
「フレッツ光全戸加入プラン」への申し込みは、NTTに直接お問い合わせすることで対応してもらえます。
- webサイトからのお問い合わせ
- フリーダイヤルでのお問い合わせ
基本的に上記のどちらでも対応可能です。詳しくは「フレッツ光 全戸加入プラン」のご案内|フレッツ光公式|NTT西日本をご覧ください。
「フレッツ光全戸加入プラン」の申込手順
「フレッツ光全戸加入プラン」は大家さんが申し込みをすれば、NTTがその後の段取りをすべて組んでくれるため安心です。
既存の建物に導入する際は、未然にトラブルを防ぐために入居者にフレッツ光導入のご案内などで、迅速に告知をすることが大切でしょう。
手順1. 公式サイトもしくは電話で申込みを行う
「フレッツ光全戸加入プラン」の申し込みは、公式サイトもしくは電話から申し込むことができます。電話は混雑しているときもあるため、公式サイトからの申し込みがスムーズに行えるのでおすすめです。
手順2. NTTの審査
「フレッツ光全戸加入プラン」は、4戸以上の集合住宅を対象に光配線方式で提供しています。しかしNTT東日本および利用場所の設備状況などにより、提供できない場合や提供開始までに時間がかかることもあるようです。
「全戸加入プラン」の提供エリアは、NTT東日本が提供するフレッツ光ネクストのサービス提供エリアに基づきます。以下地域で提供しています。
北海道エリア | 北海道 |
東北エリア | 青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県 |
信越エリア | 新潟県、長野県 |
関東エリア | 茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県 |
≪お申し込み・相談窓口≫
フリーダイヤル:0120-178-116【営業時間10:00~20:00】
建物の配管設備などが不十分で増築をしなければ利用できない場合は工事が必要となり、その際にかかる費用は大家さんや管理会社の負担になるので注意しましょう。
手順3. 必要な機器が手元に届いたらセットアップ設定をする
申し込みから1週間程度で機器が届くので、機器に同梱されている接続方法に沿って機器を光コンセントに接続します。
「セットアップガイド」に従って接続設定を行うだけで開通が完了するのでインターネット機器の扱いが不安な大家さんでも簡単です。
「フレッツ光全戸加入プラン」を契約する場合の注意点
「フレッツ光全戸加入プラン」を導入する場合、大家さんが負担する金額は一戸あたりで初期費用が800円、工事費が15,000円ほどかかります。設置する物件の戸数によって支払い料金の変動がありますので、事前見積もりは必ず行うようにしましょう。
また、物件の配線環境によっては別途工事費が発生する場合もあるので、NTTに問い合わせをして合計金額を明確に提示してもらうことで不安要素を減らせるのでおすすめです。
NTT東日本とNTT西日本で最低契約戸数が異なる
「フレッツ光全戸加入プラン」を契約するにあたって、NTT東日本とNTT西日本のどちらと契約するのかは、物件の現住所によって自動的に決まります。
どちらと契約するかは住所で決まるので心配は不要ですが、契約できる最低契約戸数が異なるので理解しておく必要はあります。
- NTT東日本…設置場所数4戸以上
- NTT西日本…設置場所数6戸以上
大家さんが所有している物件の戸数によっては、契約できない場合もあることを把握しておきましょう。
契約プランによって通信速度の上限が異なる
「フレッツ光全戸加入プラン」の速度は大家さんが下り最大200Mbpsか1Gbpsかのどちらかを選択することになります。
「フレッツ光全戸加入プラン」の通信速度は下り最大1Gbpsですが、物件環境や通信混雑などで通信速度が遅くなることがあります。
一般的に、動画の視聴やオンラインゲームをする場合は300Mbpsあれば十分です 。しかしオンラインゲームやテレワークといった大容量のデータ通信を使う入居者がいる場合は、200Mbpsだと速度が遅いと感じる可能性があります。
あらかじめ1Gbpsプランを用意しておくと、入居者と大家さんの間でのトラブルが起こりづらくなるのでおすすめです。
契約できるプロバイダは3社のみ
利用できるプロバイダは「ぷらら」「ASAHIネット」「WAKWAK」の3社のみです。
「@nifty」や「BIGLOBU」「DTI」など、よく聞く名前のプロバイダは他にもたくさんありますが、全戸加入プランで大家さんが利用できるのはこの3つに限られているので注意しましょう。
入居者が個別でフレッツ光を契約していたら転用できる
マンションに「フレッツ光全戸加入プラン」を導入する前に、すでに入居者が個別でフレッツ光を利用していた場合、その契約内容を転用することができます。
その際、手数料や解約金なども発生しないため、フレッツ光を利用していた入居者は負担なく、「フレッツ光全戸加入プラン」に加入することが可能です。
光コラボと契約している場合は転用できない
入居者が個別に「フレッツ光」と契約していれば転用可能ですが、ソフトバンク光やビッグローブ光など、光コラボレーションと契約をしている場合は転用ができません。
そのため入居者は「フレッツ光全戸加入プラン」に入る際、それまで契約していた回線を解約しなければなりません。場合によっては解約金が発生することもあるので、入居者と大家さんの間でトラブルになる可能性もあります。
マンション側で利便性を考えて導入するのであれば、入居者が違約金を払わなくて済むように大家さんが払ったり、入居者の契約更新月まで待ったりする必要があるので注意しましょう。
まとめ
パソコンやスマホの普及に伴い「無料インターネット」を提供している賃貸住宅は入居者にとって、とても魅力的な物件となります。空室対策や入居者の長期入居にも繋がり、大家さんと入居者の両者にとって嬉しいポイントがたくさんあるのがわかりました。
また、「フレッツ光全戸加入プラン」を導入することで、賃貸物件の価値が向上するので、競合物件と差をつける目的でもおすすめの設備になります。マンションや集合住宅の新たな付加価値として、全戸に導入できるサービス「フレッツ光全戸加入プラン」の導入をぜひ検討してみてください。