【知らないと損する】アパート経営で加入を検討したい保険5種類!補償内容や保険料を解説!
2023年2月22日アパート経営をする際は、できるだけリスクを抑えたいという方が多いのではないでしょうか。
経営者がどれだけ注意を払っていても、自然災害や予期せぬ事故は起こってしまいます。しかし、万が一のことが起きても保険に加入していれば、保険会社が補償してくれるためリスクを最小限に抑えられます。
そこで今回の記事では、アパート経営者が知っておくべき5つの保険や補償内容、保険料について解説します。アパート経営者やアパート経営を始めようと考えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
目次
アパート経営者が知っておくべき保険
アパート経営者が知っておくべき保険は、以下の5つです。
- 火災保険
- 地震保険
- 施設賠償責任保険
- 家主費用特約
- 団体信用生命保険
火災保険や地震保険は知っている方も多いでしょう。しかし、賃貸入居者とアパート経営者では、視点が異なります。アパート経営ならではの保険も知る必要があります。
アパート経営に伴うリスクに備えて加入する保険を検討することが大切です。それぞれ保険ごとに内容や仕組みが異なるので、1つずつ解説していきます。
アパート経営には欠かせない|火災保険
アパート経営者が知っておくべき1つ目の保険は、「火災保険」です。
火災保険は、アパート経営において最も重要な保険です。火災保険の補償範囲は火災や落雷、爆発などによって生じた損害や、台風や洪水による自然災害、盗難などです。
ここでは、火災保険の仕組みや種類、相場について解説します。
火災保険の仕組み
火災保険に加入する際には、補償の対象や範囲を決める必要があります。火災保険の補償対象は大きく2種類に分かれており、「建物」と「家財」です。
「建物」には、アパートなどの建物本体だけでなく、建物に備え付けのエアコンや浴槽なども補償対象に含まれます。保険内容によっては、建物と同じ敷地内にある門や塀が含まれている場合もあります。
「家財」は、部屋の中にある電化製品や家具など、主に入居者が引越しの際に建物の中に持ち込む物のことです。
アパート経営者はもちろん、入居者も火災保険に加入することが大半です。しかし、部屋が燃えても入居者に過失がなければ、入居者には賠償責任がありません。入居者は主に家財の補償にあたる保険に加入します。
アパート経営者が火災保険に入っていれば、入居者は安心して契約できます。万が一に備えて、保険の内容を理解した上で適切な保険を選びましょう。
火災保険に入っていれば融資を受けやすくなる
火災保険に加入することで、銀行などの金融機関から融資を受けやすくなります。
金融機関から融資を受ける際は、信用してもらうことが大切です。もし仮に火災保険に未加入で火災が発生したら、莫大な被害額になりえます。火災が起きた際のリスクが高く、金融機関も融資しづらいです。
融資を受けやすくするためだけでなく、万が一のリスクを考えると火災保険に入っている方が安心です。
リスク対策としても火災保険は加入必須
火災保険の保険料は安くはないですが、リスク対策として入っておいて損はありません。
近年では自然災害が増えており、自分でどれだけ対策しても避けられない損害があります。
また、隣家の火災が原因で自身のアパートも被害を受けた場合、故意でなければ隣家に補償責任はありません。放火などで犯人が特定できない場合も損害賠償を請求できないため、自身で補償する必要があります。
予期せぬ被害に対応できるように、リスク対策として火災保険に加入しておくことは必須と言えます。
【補償範囲を比較】火災保険の種類
火災保険には、主に以下の4種類があります。
- 住宅火災保険
- 住宅総合保険
- 普通火災保険
- 団地保険
保険によって補償範囲が異なるため、内容を正しく把握しておくことが大切です。それぞれ詳しく解説します。
住宅火災保険
住宅火災保険は、「火災・落雷・爆発・風・雹(ひょう)」などの損害を補償します。最も一般的な保険とされており、住宅専用に使用されている「建物」と「家財」のどちらも補償対象です。
住宅総合保険
住宅総合保険は、住宅火災保険よりも損害の補償範囲が広いのが特徴です。住宅火災保険の保証範囲に加えて、「台風・水害・水漏れ・盗難・衝突」なども補償します。住宅火災保険より補償範囲が広い分、料金は高くなります。
ただし、地震や津波、噴火などの天災が原因の場合は、補償の対象外なので注意が必要です。
普通火災保険
普通火災保険は、専用住宅以外の店舗兼住宅や事務所、建物内に収容してある備品や設備などを補償します。損害の補償範囲は住宅火災保険とほとんど同じです。
団地保険
団地保険は、団地や民間のマンションなどの耐火構造で造られた共同住宅の建物や家財を補償します。
補償の範囲は住宅総合保険とほとんど同じです。さらに、団地構内で起きた傷害を補償する傷害保険と、偶然の事故や被保険者の日常生活によって起きる事故を補償する個人賠償責任保険が含まれています。
火災保険料の相場
火災保険料の相場は、「建物の種類・立地・素材・契約期間・補償内容」などによって異なります。
基本的には、補償範囲が広く補償内容が手厚くなるにつれて保険料は高くなります。燃えやすい木造住宅よりも鉄筋コンクリートの建物の方が、災害が起こりやすい地域よりも災害が起こりにくい地域の方が安いです。
また、保険料を判断するポイントとして、「再調達価格」を元に考えることも重要です。
再調達価格とは、建物が全損した場合に再建築に必要な金額のことを言います。再調達価格が補償されていれば、万が一全損しても補償されるので安心です。
建て替えまでの家賃収入を補填「家賃補償特約」
火災保険の特約には、火災などが起きた際に家を建て替えるまでの家賃を補償する「家賃補償特約」があります。
入居者が契約時に契約した期間まで補償してもらえますが、元々空室が5割以上を占めている物件の場合は適用されないため注意が必要です。
火災保険とセットでの加入が必要|地震保険
アパート経営者が知っておくべき2つ目の保険は、「地震保険」です。
地震保険は、地震や噴火、津波が原因で引き起こされた火災・損壊・流失・埋没による損害を補償する保険です。「建物」と「家財」の両方が補償されます。火災保険では地震や噴火による火災は保険の対象外となっているため、地震が多い日本では加入を検討したい保険です。
また、地震保険は単体で存在せず、火災保険とセットになっており、損害の程度によって支払われる保険料が決まります。
ここでは、地震保険の相場や割引制度について解説します。
火災保険に地震は含まれていない
火災保険は補償範囲が広いため勘違いされがちですが、地震については補償内容に入っていません。一概に火災が発生したからといって火災保険が適用されるわけではないため、注意が必要です。
地震によって起きた隣家の火災が原因で火災に巻き込まれた場合も、火災保険は適用されないため、地震保険の加入も検討しておく必要があります。
地震保険料の相場
地震保険は政府と民間の保険会社が共同で運営しているため、どの会社で契約しても保険料に差がありません。地震保険料は、火災保険料の30%〜50%の範囲内で決まります。また、補償額の上限が決まっており建物は5,000万円まで、家財は1,000万円までです。
保険期間は最長5年まで設定でき、火災保険が5年以下の場合は地震保険も同様の契約期間に設定されます。保険料を一括で支払う方が、毎年支払うよりもお得です。
地震保険の割引制度
地震保険はどの会社で加入しても料金に差はありませんが、以下4つの割引制度があります。
- 建築年割引
- 耐震等級割引
- 免震等級割引
- 耐震診断割引
条件を複数満たす場合でも、これらの割引は重複できません。割引を適用する際は、確認資料として公的な資料が必要です。
割引の適用条件や割引率、確認資料についてそれぞれ表にまとめました。
建築年割引
建築年割引の概要は、以下の通りです。
適用条件 | 昭和56年(1981年)6月1日以降に新築された建物 |
割引率 | 10% |
確認資料 | ・公的機関等が発行する書類(「建物登記簿謄本」、「建物登記済権利証」、「建築確認書(確認済証・確認通知書)」、「検査済証」など)
・宅地建物取引業者が交付する「重要事項説明書」 ・(地震保険期間の初日が2019年1月1日以降の場合) ・登記の申請にあたり登記所に提出する「工事完了引渡証明書」など |
参照元:財務省「地震保険制度の概要」
耐震等級割引
耐震等級割引の概要は、以下の通りです。
適用条件 | |
割引率 | 【地震保険の始期日が2014年7月1日以降の場合】
耐震等級3:50% 耐震等級2:30% 耐震等級1:10% 【地震保険の始期日が2014年6月30日以前の場合】 耐震等級3:30% 耐震等級2:20% 耐震等級1:10% |
確認資料 | ・品確法に基づく「建設住宅性能評価書」または「設計住宅性能評価書」
・評価指針に基づく「耐震性能評価書」(耐震等級割引の場合にかぎります。) ・独立行政法人住宅金融支援機構が定める技術基準に適合していることを示す「適合証明書」または「現金取得者向け新築対象住宅証明書」(注5) ・長期優良住宅の認定申請の際に使用する「技術的審査適合証」または「長期使用構造等である旨の確認書」 ・住宅取得等資金に係る贈与税の非課税措置を受けるために必要な「住宅性能証明書」 ・①「認定通知書」など長期優良住宅の普及の促進に関する法律に基づく認定書類および②「設計内容説明書」など耐震等級または免震建築物であることが確認できる書類 ・(地震保険期間の初日が2017年1月1日以降の場合) |
参照元:財務省「地震保険制度の概要」
免震等級割引
免震等級割引の概要は、以下の通りです。
適用条件 | 住宅の品質確保の促進等に関する法律にもとづく免震建築物である建物 |
割引率 | 【地震保険の始期日が2014年7月1日以降の場合】
50% 【地震保険の始期日が2014年6月30日以前の場合】 30% |
確認資料 | 耐震等級割引と同様 |
参照元:財務省「地震保険制度の概要」
耐震診断割引
耐震診断割引の概要は、以下の通りです。
適用条件 | 地方公共団体等による耐震診断、または耐震改修の結果、改正建築基準法(昭和56年6月1日施行)における耐震基準を満たす建物 |
割引率 | 10% |
確認資料 | ・耐震診断または耐震改修の結果により減税措置の適用を受けるための証明書(「耐震基準適合証明書」、「住宅耐震改修証明書」、地方税法施行規則附則に基づく証明書など)
・地方公共団体、建築士、指定確認検査機関、登録住宅性能評価機関などによる耐震診断書類 |
参照元:財務省「地震保険制度の概要」
予期せぬ事故・事件に備えて|施設賠償責任保険
アパート経営者が知っておくべき3つ目の保険は、「施設賠償責任保険」です。
施設賠償責任保険とは、アパートやマンションの不備や欠陥によって他人に怪我を負わせた場合の損害賠償を補償する保険です。
小売店などの施設での業務中に発生した事故についても同様に補償されます。取り扱う種類によって内容はさまざまですが、基本的には火災保険に付帯する形で契約します。
老朽化のリスクにも対応
施設賠償責任保険は、老朽化のリスクにも対応できます。築年数が古い建物は、必然的に事故が発生する確率が高いです。エレベーターが故障したり、壁が剥がれ落ちたりすることは老朽化するほど起こりやすくなります。
できる限り未然に事故を防ぐのが1番ですが、万が一に備えて保険に加入しておいた方が安心です。
保険料が安くアパート経営の負担にならない
施設賠償責任保険の保険料は、月々400円〜800円程度です。火災保険や地震保険と比べると負担金額はとても安いです。
何か事故が起きた場合は、数億円程度の損害賠償額になることもあり得るため、加入しておいて損はないでしょう。
万が一入居者の死亡事故が起きても|家主費用特約
アパート経営者が知っておくべき4つ目の保険は、「家主費用特約」です。
家主費用特約とは、賃貸住宅などで入居者の死亡事故が発生した際にかかる費用を補償するものです。事故物件は次の入居者を見つけるのが大変ですが、入居者が決まるまでの家賃も補償されます。
最近では住宅での孤立死も珍しくないため、アパート経営者が検討すべき保険です。ここでは、補償範囲や保険料の相場について解説します。
家主費用特約の補償範囲
家主費用特約の補償範囲は、主に契約住宅内で死亡事故が発生したことにより生じるものです。
具体的には、以下のような費用が補償されます。
- 部屋の清掃や脱臭などの原状回復費用
- 遺品整理にかかる費用
- 空室期間や値引期間の家賃損失費用
本来であれば遺族が負担するものですが、身寄りのない方であれば、アパート経営者が負担しなければいけません。
高齢者の孤独死が問題になっている昨今、特に1Kなどの1人暮らし用アパートであれば加入しておいた方が安心でしょう。
家主費用特約の保険料の相場
家主費用特約は基本的に単体で販売されていることが少なく、火災保険の特約として販売されています。
単体販売されている場合の保険料の相場は、年間で1戸あたり2,500円〜6,000円です。料金は、保険適用時の補償限度額によって変わります。
アパートローンを組む際に加入する|団体信用生命保険
アパート経営者が知っておくべき5つ目の保険は、「団体信用生命保険」です。
団体信用生命保険とは、ローンを組む際に加入する生命保険です。
多くのアパート経営者がアパート購入時にローンを組みますが、ローンを組む際に必須で入らなければいけない場合が多いです。
ここでは、団体信用生命保険の内容や保険料、注意点について解説します。
団体信用生命保険は自身に万が一があった際に家族を守る
団体信用生命保険は、ローン返済中に死亡してしまったり、返済が難しくなってしまったりした際に、ローンの残りを保険金で弁済するものです。そのため、自身に万が一のことがあっても、家族に負担がかかりません。
仮に経営者が死亡してしまってもローンを支払う必要がないため、安心してアパートを引き継ぐことができます。残された家族の負担を減らすためにも、入っておいて損はないでしょう。
アパート経営における団体信用生命保険料
団体信用生命保険は、基本的にローンを借り入れする金融機関の提携商品として販売されています。保険料は借入時のローン金利に上乗せされるため、ローン返済額の中に保険料が含まれています。金利は0〜0.3%の範囲で上乗せされることが多いです。
返済方法 | 元利均等返済 |
借り入れ金額 | 6,000万円 |
返済期間 | 20年 |
金利 | 0.3% |
合計支払保険料 | 1,672,420円 |
上記のように金利0.3%で6,000万円を20年間の返済で借りると、保険料は約170万円です。金融機関やプラン内容によっても異なるため、事前に調べておくようにしましょう。
団体信用生命保険の注意点
すでに借入のない資産を多く所有する地主や資産家の方は、団体信用生命保険への加入を慎重に判断する必要があります。
団体信用生命保険のデメリットは、ローンの負債が減る分、相続する資産が大きくなることです。ローンをあえて残して相続遺産を減らすことで、節税対策になる場合もあります。
多額の相続税を発生させないためにも、相続資産を把握して判断することが大切です。
保険料の受け取り方
最後に、保険料の受け取り方について解説します。
生命保険などの一定の金額を受け取れる保険とは違い、火災保険などの損害保険商品では、契約時に設定した保険金に関わらず実際の被害にあった損害額によって受け取り方が異なります。
保険の契約方法によって算出方法が異なるため、まずは保険の種類を正しく把握して契約することが大切です。
ここでは、保険の契約の種類と算出方法について解説します。
全部保険
全部保険とは火災保険の一般的な契約形態で、設定した保険金額が建物の評価額と等しく設定されており、損害を受けた分がそのまま補償されます。
シンプルでわかりやすい基本的な設定ですが、補償範囲が広いため、月々の保険料が割高になっていることもあります。
超過保険
超過保険とは、契約時に決めた保険金が保険の対象である目的物の価額を超えている状態のことです。
損額分の保険は受け取れるため安心ではありますが、必要以上の保険料を支払っている状態なので見直すことをおすすめします。
算出方法
保険料の算出方法は、「実損補填型」と「比例補填型」の2パターンです。
実損補填型が主流となっており、保険金額を限度として実際の損害額が支払われます。保険料と保険対象がほぼ同価値の場合に有効です。
比例補填型は、保険金額が保険価額の80%未満の場合に適用され、次の公式で計算した保険金が支払われます。
- 損害保険金=損害額 × 保険金額/保険価額×80%(商品や保険会社により異なる)
比例補填型は多くの場合、損害に見合った保険金を受け取れません。最近では実損補填型が一般的ですが、契約の際には注意して確認するようにしましょう。
まとめ
今回の記事では、アパート経営者が知っておくべき5つの保険の補償内容や保険料について解説しました。
アパートを経営する際には、想定されるリスクに対応できるよう適切な保険に加入しておくのがおすすめです。アパート経営者がさまざまな保険に加入しておくことで、自身だけでなく家族や入居者も安心できます。
これからアパート経営を考えている方や、すでに経営しており見直すべき保険がある方は、ぜひ本記事を参考にして加入する保険を検討してみてはいかがでしょうか。