アパート経営

アパートの建設費用はいくら?相場や内訳・安くする方法を徹底解説

2023年2月8日

アパートを建設したいと考えた際に、「実際どれくらいの費用がかかるんだろう?」と疑問に思う方も多いのではないでしょうか。アパートを建設するだけでも莫大な費用や時間がかかって大変なのではないかと不安に思ってしまうものです。

そこで本記事では、アパートを建設する事を前提に、具体的な費用や内容を紹介します。また、建設会社を選ぶ際のポイントなど、アパート建設についての基礎も解説していくので、アパートを建設したいと考えている方はぜひ本記事を参考にしてみてください。

目次

アパート建設費用の相場

アパートの建設費用は、土地や構造によって変わります。そのため、具体的な価格帯を表記するのではなく、建築費用の計算方法を記載します。

アパートの建築費用は、「坪単価」と「面積」によって決まります。自分が建設したいアパートがある場合は、どれくらいの大きさかを知っていれば、建設したい場所の坪単価を調べればおおよその価格を見積もることができるでしょう。

アパート建設費用の坪単価

アパートを建設する際に、建物の構造も坪単価に関わってきます。例えば木造建物の坪単価は70〜90万円なのに対し、鉄筋コンクリート建物の坪単価は100〜120万円です。このように、どのようなアパートを建てたいかによって費用は大きく変わります。以下に建物別に坪単価をまとめました。

建物 坪単価
木造 70~90万円
軽量鉄骨造 80~100万円
重量鉄骨造 90~100万円
鉄筋コンクリート造 100~120万円

上記の表を踏まえ、建築する際は「建物の坪数」と「建物を何で作るのか」を事前に決めておいて、予算を用意すると良いでしょう。ここからは、具体的に例も混ぜながら、更に建設費用の相場を掘り下げていきます。

アパートの建設費用相場

土地の価格は場所によって、だいぶ価格が変わりますが、上記の表を使って具体的に構造と建物の大きさでどれくらいの費用がかかるのかみていきましょう。

30坪のアパートの建設費用相場

30坪のアパートを想定した費用相場は以下の通りです。

建物 30坪のアパート費用相場
木造 2,100~2,700万円
軽量鉄骨造 2,400~3,000万円
重量鉄骨造 2,700~3,000万円
鉄筋コンクリート造 3,000~3,600万円

30坪の大きさは、畳にすると60畳の広さです。10畳の部屋を6つ確保でき、3LDK〜4LDKの広さに相当します。この広さであれば多くの部屋を作ったとしても2階建てが現実的でしょう。

50坪のアパートの建設費用相場

50坪のアパートを想定した費用相場は以下の通りです。

建物 50坪のアパート費用相場
木造 3,500~4,500万円
軽量鉄骨造 4,000~5,000万円
重量鉄骨造 4,500~5,000万円
鉄筋コンクリート造 5,000~6,000万円

50坪の広さは、畳だと100畳の広さで、2階建てだと50畳の部屋が2つ作れます。一軒家にした場合だと、大人5〜6人程度が広々と生活できるレベルです。アパートとして考えるならば、ファミリー層や二人暮らし向けの部屋が6〜8部屋用意することができます。

100坪のアパートの建設費用相場

100坪のアパートを想定した費用相場は以下の通りです。

建物 100坪のアパート費用相場
木造 7,000~9000万円
軽量鉄骨造 8,000万~1億円
重量鉄骨造 9,000万~1億円
鉄筋コンクリート造 1~1.2億円

100坪の広さは、畳だと200畳に相当し、一軒家なら豪邸のような2階建てが建てられます。

アパートとして考えた場合、1Rの部屋を8戸にした4階建てマンションを建てることができます。収益を考えた場合、かなりの収益化が考えられますが、この広さになると木造以外の建物造を検討する必要が出てきます。

設計費用の内訳

アパートを建てることが決まった際、建築でかかる費用を確認します。建築時にかかる諸費用として多いものは以下の通りです。

  • 設計費
  • 現況測量費
  • 地盤調査費
  • 水道分担金
  • 不動産所得税
  • 登録免許税および司法書士手数料
  • 印紙税損害保険料
  • 融資手数料

文字だけ見ても想像がつきにくく難しい単語が多いですが、それぞれ順を追って説明していきます。

設計費

建築するアパートの設計をした人に支払う費用のことです。依頼した会社から請求される場合もあれば、別経由で請求されるケースもあります。一律で請求先が決まっていないのは設計士が別でいることもあるからです。

依頼した施工会社に建築士がいない場合も、他の一級建築士もしくは事務所に依頼しなければならないこともあります。その場合、設計費用が別に請求される可能性があることに注意しておきましょう。

現況測量費

敷地の状況を把握するために測量を行います。その際にかかる費用を現況測量費といいます。この現地測量はアパート建設の際には基本的に必ず行います。

建築基準法には、建物に関する基準が決められており、その中に敷地境界と建物の距離などの審査対象があります。この現況測量によって敷地境界を明確にしなければ、その後の検査で合格ができず、完了検査で合格ができません。

かかる費用は、対象の土地面積により大きく変動するので決定的な相場はありませんが、20〜30万円はかかると認識しておきましょう。

地盤調査費

地盤調査とは、建設予定地の地盤強度を調べるために行う調査のことです。支持地盤の深さを確認するためボーリング調査も実施します。

地盤調査で行われる方法として、スクリューウエイト貫入試験やボーリング調査があります。スクリューウエイト貫入試験は土質がおおよそしか判明しないデメリットはあるものの、コストが安く、費用は3〜5万円程度です。

マンションクラスの大型建物を建築する際は、ボーリング調査が推奨されます。ボーリングで採取した地質データより詳細を知ることができるのです。しかし、その分費用はかかりがちです。調査費用は深さにもよりますが、15〜25万円程度が目安になります。

水道分担金

水道分担金とは、水道の新設工事などにかかる費用のことです。アパートを建築する際に新たに水道を引く場合、この水道分担金は大きな金額になるので、確認しておきましょう。

また、費用は自治体や水道の口径によって変わるので、事前に建設予定の自治体へ確認しましょう。水道分担金の名称は「水道加入金」や「水道利用加入金」と呼ばれることもあります。

アパートの場合だと、水道分担金は戸数によっても変わります。基本的には「水道分担金×部屋数」が納める金額になります。

不動産取得税

不動産取得税とは、土地や家などを手に入れた際にかかる税金です。不動産の購入や贈与、建築で対象になります。

取得した不動産の固定資産税評価額に税率をかけて計算されます。税率は住宅に関しては軽減税率が適用されて4%です。

取得してから約1年程度あとに支払う必要があるので、費用として忘れないようにしっかり資産管理をしておきましょう。

登録免許税および司法書士手数料

登録免許税とは、土地や建物を購入などで所有した際に「登記」といって所有している登録をするのですが、その際にかかる税金を登録免許税と言います。

この登録免許税額は、課税価格×税率で計算され1000円未満は切り捨てた金額で計算されます。所有権保存登記=新築建物への税率は0.4%で、具体的に計算してみると以下の通りです。

新築の建物500万円(課税価格)×0.004(税率)=2万円

課税価格がハッキリしていれば、登録免許税もしっかり計算できます。

所有権保存登記など、法的な書類申請によって登録申請をする際に、手続きがとても大変です。そのため、専門家に依頼することも多いのですが、司法書士手数料とは、その際にかかる費用になります。

印紙税、損害保険料

印紙税はいろんな手続きで名前を聞く場合もありますが、ここでは成約価格に応じた印紙税のことです。印紙税の価格は以下の通りです

成約価格 税率
10万円超~50万円以下 400円
50万円超~100万円以下 1,000円
100万円超~500万円以下 2,000円
500万円超~1,000万円以下 10,000円
1,000万円超~5,000万円以下 20,000円
5,000万円超~1億円以下 60,000円
1億円超~5億円以下 10万円
5億円超~10億円以下 20万円
10億円超~50億円以下 40万円
50億円超 60万円

一方、損害保険料は、建設したアパートの火災保険や地震保険の費用のことです。1年あたりの保険料は建築費の0.05%になります。

保険料は、節約の意味でも重要なポイントです。安易に決定せず、複数社から見積もりや自分に合った条件をみて選びましょう。

融資手数料

融資事務手数料(融資手数料)は住宅ローンを契約する際に、ローンを組む金融機関に支払う手数料のことです。融資手数料は、保証料に比べて金利が低いケースが多く、長期間の返済期間に適用されることが多いです。

アパートなどは新築で建てた後、長期間の返済期間を設けることが多く、こうした場合に金利の低い住宅ローンを選ぶ場合が多いです。

アパートの建築費用を抑える方法

アパート建築は、依頼する会社によって大きく費用が異なります。アパート建築はただでさえ費用がかかるものなので、できるだけ費用を抑えたいものです。

建設会社に以下のような発注方法を取ることで、費用を抑えることができます。

  • 依頼する建設会社に、一括発注する
  • 複数の建設会社から見積もり発注する

それでは、具体的にどのようにすれば良いのか詳しくみていきましょう。

複数の建築会社から見積もりを取る

建築は、設計と施工を同じ会社に依頼する方が建築費は大幅に安くなります。しかし、発注する前に見積書をとるのは複数社へ依頼しましょう。

自分の希望を最大限配慮してもらうと、建築を依頼すると会社によって費用が大幅に変わることがあります。特別な理由がない限りは、料金の安い会社へ一括依頼するため、しっかり複数社に見積書を作成してもらって比較しましょう。

考えて構造を選ぶ

建築予定のアパートを、どんな造りで建てるのかをしっかり決めましょう。例えば、木造のアパートは初期費用は安く済むもののメンテナンス費用がかかってしまいます。一方、中〜大型のアパートでは、初期費用が高いです。

また、建築会社によっても「木造なら安く速く建築するのが得意です。」のように、会社によっても特色も異なります。そのような点でも自分が建築したいアパートをどのようにしたいのかを明確にしておきましょう。

設計施工一括方式で建設する

建設会社にアパート建設を依頼する際は大きく分けて一括方式と分離方式があります。一括方式は建設から施工までを一括で依頼するのに対し、分離方式は、施工と建設を別々の会社が担当する方法です。

分離方式は、別々の会社に依頼する分費用が割高になってしまうことが多いです。設計施工を一括で依頼する場合、費用を分離方式より5〜6%程安くなることもあります。アパートの建築費用を抑えたいのであれば、一括方式を選ぶと良いでしょう。

広めの間取りにする

アパートの建築費用を見ると、広さを同じにするとワンルームよりファミリータイプの方が費用を抑えることができます。

収益の利回りがいいのはワンルームの方です。しかし、建設する際はアパートの部屋数が多いと、それと同数の水道や壁、床、天井が必要になります。そのため、費用を削減したい場合は、一部屋当たりの面積が大きいファミリータイプの方が初期費用は安く済みます。

内装をシンプルにする

建設費がかかる要因の1つとして、建設の際のデザインです。アパートのデザインを重要視すると、壁や床、周辺の材料にこだわる必要があります

デザインに凝ると費用は増えてしまいます。費用があまりかからないようにするには、デザインをシンプルにして建築費用をかけないように心がけましょう。

建築会社を選ぶ際のポイント

アパートの建築に関して、もっとも重要なのは契約する建築会社です。建築会社によっては得意とする建物もあったりするので、事前に確認する必要はあります。

アパートの経営まで自分で大体決まっているなら、自分のプランや理想をするアパートを造れる建築会社へ依頼しましょう。

ここからは、そんな建築会社の選び方について解説していきます。

大手企業か地元密着の企業かで選ぶ

大手企業の場合、依頼費用は広告料など、大手企業だからこそ増える費用もあります。そのため、地元密着型の建築会社よりも費用は掛かる傾向にあります。

しかし、大手企業は多くの建築依頼を受けているため、作業マニュアル化がすすんでいることも多く、納期よりも短期間で作業を完了する可能性が高いです。

地元密着型の企業だと、地元の案件を複数抱えている可能性もあるため納期を超えることは想定しておく必要があります。

ただし、地元と密着した事業形態なので、親身になって建築の際の相談に乗ってくれることが多いです。

見積もりが適切に作られているかで選ぶ

会社によって見積書に表記される項目が多少異なります。表記の違いによって、費用が割高になってしまうケースもあるので、見積書が適切に作られているか確認が必要です。

たとえば、一式としてまとめて金額を出す会社もあれば、細部まで個数と費用が表記されている見積書もあります。

建設費用を増やさないためにも、誤解を生まないよう細かく内訳を表記したり、建築費が相場と比べて適切なのかを確認できる見積書を作っている建設会社が安心して発注することができるでしょう。

建築会社の強みで選ぶ

建築会社によっては、さまざまな特色があります。建設してもらうときは、自分が求める条件に該当する会社を選びましょう。

例えば、ソーラーパネルを設置したアパートを建てたい場合、自社でパネルの販売や設置まで行っている建築会社を見つければ、別々で頼むよりも安くなることもあります。

このように、依頼を検討している会社の特色を見ることで、自分のプランに合った会社を選べます。

プランが適しているかで選ぶ

自分の思い描くアパートを手に入れるために、ある程度の理想や原案を検討する必要があります。その中で、アパートを経営するまでのプランニングをするようにしましょう。プランニングをする際は、そのプランと会社が提示するプランの内容に大きな相違が無いか確認を行いましょう。

例えば、建築後に多少経営について援助してほしい場合は、どんなに安く建築してくれる会社だったとしても、建設後のアフターサービスがない会社へ依頼するのは辞めた方が良いかもしれません。

このように、自分の希望と会社側から提示されるプランを照らし合わせ、納得のいく会社を見つけることが大事です。

得意な構造で選ぶ

希望するアパートがある場合、その構造や建物造を得意とする建築会社を選びましょう。得意分野に関しては、依頼する前に会社へ問い合わせるのが一番ですし、実績が多い会社だとその実績から安心することができます。

専門外の会社へ依頼すると、作業効率が落ち、結果として転居の繁忙期を逃して利益を逃すケースもあります。建築会社を選ぶ際には、自分が考えるアパートの建築を得意とする会社に依頼しましょう。

信用できるかどうかで選ぶ

建築会社へ依頼するためには、依頼先の建築会社が安定した経営基盤の会社であると安心して発注することができるでしょう。アパートの建築は決して安いものではありません。失敗は最大限避けたいものです。そのため、建設の依頼をする際は相手側が信用できるかどうかをしっかり調べて依頼しましょう。

その会社の実績や、会社財務体質、依頼を検討している会社を利用した方の口コミ、これらの会社情報を集め、最終判断をしてください。

アパートの建築費のうち自己資金はどれくらい?

アパートの建築費用として、自己資金として準備するのは「頭金」です。多くの場合は、アパート建築をする際にローンを組みます。その際に頭金を支払いますが、目安としては建築費用の3割程度が目安です。

例えば、1,000万円のお金をローンで組む時は、3割の300万円を頭金として用意する必要があるということになります。

アパート建設にかかる期間と支払い時期

アパート建築の工期目安は、木造なら階数+1、鉄骨造なら階数+3ヶ月と言われています。この目安よりも工期が長く設定される場合、理由を確認しましょう。会社によっては多くの余裕を持たせて期間を設ける場合があります。もし、大幅に余裕を持っているだけなのであれば、交渉の余地があります。

支払い期間は、アパートの建築は工期が短く支払い方法や期間が重要となる場面もあります。短期間で大きなお金が動くので、もしローンが適用される前に支払いを済ませなければいけない状況なら、つなぎ融資などを利用して支払いをする必要があります。

アパート建築の際の融資の受け方

融資を受けたい場合、アパートを建設してから収入が発生するまでの計画書を作成する必要があります。記載項目としては、家賃収入や、管理費・税金などの経費、などです。

融資を受けられる時期

融資の実行に関しては、土地建物の残金決済日(引き渡し当日)が一般的です。支払い実行までは、8つの工程を踏んで実行に至っています。工程は以下の通りです。

  1. 融資の相談
  2. 融資申し込み
  3. 金融機関の物件調査・査定
  4. 融資の算定
  5. 事前承認
  6. 契約後の本審査
  7. 本承認
  8. 金銭消費賃借契約

アパートの建設期間は短く、融資を受けられたとしても入金前にアパートの建築費を請求されることがあります。

アパートローンと住宅ローンの違い

アパートローンとは、居住以外の目的で投資用としてアパートやマンションなどの物件を購入・建築する際に利用できるローンになります。

これに対し、住宅ローンは、住宅の新築・改築などを目的としたローンです。ここで重要なのは住宅ローンは住宅に対して取り組まれるローンなので、投資などを考えた際は、アパートローンしか利用できません。

まとめ

アパートの建設は、どのような設計と収益があるのかを、自分のプランに落とし込んでから計画を進めましょう。また、アパートの建築にかかる費用は、その建物のつくりや坪の大きさによって異なります。

また、建設費用は建築会社によって異なることもあります。さらに建築会社によってその得意分野は異なります。アパート建築をする際は、建設会社選びにもこだわりましょう。