アパート経営

アパート経営する上で修繕費の相場は?安く抑えるためのポイントも徹底解説!

2023年7月26日

アパートオーナーの皆さんは、アパートの修繕費で悩んだことはありませんか。修繕はオーナーの義務ですが、修繕費はできるだけ抑えたいと思うのは当然です。

この記事ではアパートの修繕費用の相場や、出費を抑える方法を解説しています。そのため、修繕にかかる費用について詳しく把握できます。

この記事で解説する内容を参考に、アパート経営に活用してみてください。

目次

アパート修繕費の種類

アパートの修繕費用について知る上で、修繕費の種類を把握しておくことは重要です。アパートの修繕費は、大きく以下の2つに分けられます。

  • 費用
  • 資本的支出

ここからはそれぞれの内容について詳しく解説します。

費用

アパートの修繕費の中でも費用にあたるのはアパートの運営上、やむを得ない工事費用です。例えば、次のような工事での出費が費用にあたります。

  • 屋根や外壁が劣化した際の耐久性回復工事費用
  • 自然災害に伴う修繕費用
  • 入居者の入れ替えに伴う居室の整備費用
  • 導入から年数が経過した設備の交換費用

上に挙げた内容以外にも、費用に当たる出費は数多くあります。ただし、全ての出費が必要経費とはなりません。詳しいことは、税理士や税務署などに確認しましょう。

資本的支出

アパートの修繕費の中でも資本的支出に当たるのは、建物の価値を向上させるための費用です。どのような出費が資本的支出に当たるかというと、以下のような工事です。

  • ガス給湯器などを付加価値の高い設備へ交換する費用
  • 耐久性と防水性の高い塗料への外壁・屋根の塗り替え費用
  • 耐久性の高い床材やクロスへの入れ替え費用

このように工事の内容や目的、使用する資材によっては資本的支出と見なされます。経年劣化や自然災害への対応の際は、注意が必要です。

修繕費と資本的支出を判断するポイント

修繕費の中でも、費用と資本的支出で分けられる工事の具体例を挙げました。ここには、費用と資本的支出を分けるポイントがあります。以下がそのポイントです。

  • 3年をめどに周期的に行われる工事
  • 工事金額は20万円未満

支出した金額が費用として認められると、大きな節税効果を得られます。逆に認められないと、資本的支出として減価償却しなければいけません。費用として認めてもらうためにも、修繕工事を行う際は、上記のポイントを意識して工事を行いましょう。

修繕費・資本的支出の判断をサポート

ここまで修繕費の費用と資本的支出について解説してきました。出費が費用となるか資本的支出になるか、次のポイントで判断してください。

  • 出費が20万円未満
  • 3年周期の修繕
  • 建物の資産価値が向上しない
  • 通常の維持管理の範囲内
  • 60万円未満あるいは前期末取得額の10%

上に挙げたポイントに当てはまる場合、多くの修繕費用が必要経費として認められます。当てはまる場合でも費用として認められない場合もありますので、不安がある方は税務署や税理士などに確認しましょう。

アパート経営での修繕費の必要性

アパートを経営する上で、修繕は必要不可欠です。オーナーが修繕を怠れば建物は劣化し、入居者や近隣住民が不便や被害を受けることも想定できます。

また、修繕を行わない古いアパートでは、入居者が減ってしまう可能性もあります。入居者が減ってしまうと収入も減り、必要な修繕を行えなくなるという悪循環になってしまいます。必要な金額を捻出できず災害や経年劣化への対応ができないと、既に入居している方が引っ越してしまう可能性もあります。

このように、入居者と近隣への配慮と空室リスク回避のためにも、修繕は適切に行わなければいけません。

オーナーが負担する修繕費の種類

ここまでは修繕費の中でも経費として認められる出費と資本的支出を解説してきました。ここからは、修繕費の種類を次の4つに分けて紹介します。

  • 原状回復費
  • 補修費
  • 予防修繕費
  • 大規模修繕費

それぞれの内容について、修繕の頻度や費用相場などを踏まえて詳しく解説します。

原状回復費

修繕の頻度 退去時
費用相場 おおむね20万円前後
費用負担者 入居者(敷金から充当)

原状回復費は入居者が退去した後に、室内を修繕するための費用です。経年劣化や居住する上でやむを得ない損耗は修繕しなければいけません。そのための費用は敷金から賄われることが多数を占めます。

しかし、入居者の不注意や故意によって室内や設備を損傷した場合には、入居者が負担することもあります。原状回復については、入居者に事前にしっかり説明することが大切です。

補修費

修繕の頻度 不具合の発生都度
費用相場 数万円から100万円以上
費用負担者 オーナー

補修費は、入居者が入居中にガス給湯器や水回り、屋根や外壁などに不具合が発生した際の修繕費です。修繕費用は不具合の発生した機器や部位によって異なりますが、給湯器などの交換の場合10万円前後です。

自然災害などにより屋根や外壁が損傷した場合、100万円以上かかることも珍しくありません。修繕の中でも入居者に起因する修繕の場合、入居者に費用負担を求めることも可能です。

予防修繕費

修繕の頻度 数年に1回および退去時
費用相場 数万円から数十万円
費用負担者 オーナー

予防修繕費は、大きな修繕が必要となる前に行う修繕のための費用です。損傷や劣化が軽微なうちに修繕し、大規模な修繕になることを予防するために行います。

具体的に予防修繕では、外壁や屋根の小さな損傷の修繕や損傷部位の検査などを行います。また、シロアリの検査や古くなった機器の交換も予防修繕の対象です。定期的に建物を調査し、小さな修繕で済ませることで出費の大きい大規模修繕を防ぎましょう。

大規模修繕費

修繕の頻度 数年から10数年に1回
費用相場 数百万円から1千万円程度
費用負担者 オーナー

大規模修繕費は、アパートを経営する上で最も高額な出費です。大規模修繕は機器の交換や細かな損傷の修繕ではありません。外壁や屋根の塗り替えなど、建物を大きく修繕する際にかかる費用です。

大規模修繕も予防修繕の一環として考えられていますが、実際に損傷が発生してから行うこともあります。修繕の費用を抑えるためにも、定期的な計画を組んで修繕を行いましょう。

アパートの修繕箇所とその頻度・平均予算

ここから建物の修繕箇所ごとの修繕費用を解説します。修繕が必要となる建物の部位は、以下の7ヵ所です。

  • 屋根
  • 外壁
  • クロスや床
  • ウォシュレットやエアコン
  • 排水管
  • 給湯器
  • 外部建具

それぞれの部位ごとに、修繕の頻度と平均予算を解説します。

屋根

建物の屋根はさまざまな要因で劣化の速度が変動しますが、おおむね10年から15年で防水工事が必要になります。

防水工事の場合、塗料と工賃、仮設の足場設置費用などを含めて数十万円程度の費用が必要です。また、20年から30年で屋根の葺き替え工事が必要です。屋根の葺き替えの場合、諸々の費用を含めて100万円を超えることもあります。

屋根は外壁と並んで最も傷みやすい部位のため、修繕費用も高額になりやすい部位です。

外壁

外壁は、屋根同様に建物で最も傷みが激しい部位です。しかし、屋根とは違い損傷が見えやすい部位でもあります。そのため、外壁の劣化や損傷が原因でアパートのイメージを大きく損なう可能性もあります。

実際のところ建物の外壁はおよそ10年から15年で塗装が劣化し、耐久性も低下します。そのため、10年から15年に1回塗装工事を行わなければいけません。外壁の塗装工事は屋根の防水工事よりも高額になり、150万円程度が平均の修繕費用です。

クロスや床

クロスや床も経年劣化します。クロスや床は目に付きやすく、汚れや傷があると印象に大きな差を与えます。そのため、オーナー負担で定期的に張り替えなければいけません。

張り替えの頻度はクロスで6年から8年に1回、床材で8年から12年に1回程度です。張り替え費用は1平方メートルあたりクロスで1,500円程度、床材で5,000円程度です。

入居者が長期で入居していた場合、目立った汚れや傷がなくても退去後に修繕をしておきましょう。

ウォシュレットやエアコン

ウォシュレットやエアコンなどの備え付けの機器も交換が必要です。どちらも電化製品のため、入居者が普通に使っていても異常をきたす場合もあります。

入居者が故意に壊した場合を除いて、オーナーが負担し修繕を行う必要があります。ウォシュレット、エアコンの修繕費用は5万円前後です。

修繕の頻度としては10年前後ですが、短期間で不具合を起こす場合もあります。突発的な不具合が発生した場合、都度対応しなければいけません。

排水管

排水管も経年劣化を起こすため、計画的な修繕が必要です。排水管の修繕は、主に排水管と升の洗浄、継手部分の交換を行います。

どちらも怠ると建物に大きなダメージを与えることがあるため、定期的に修繕を行わなければいけません。排水管と升の洗浄はおおむね5年ごとに行い、継手部分の交換は30年前後で修繕します。

継手部分の交換は、大工工事なども必要です。そのため、300万円程度のまとまった金額を予算として確保しておかなければいけません。

給湯器

給湯器は、頻繁に故障するようになったタイミングでの交換が望ましいです。異常が起きた際は速やかに交換しなければいけませんが、不具合がなくても定期的な交換は必要です。

そのため、給湯器についても定期的な修繕を計画しておかなければなりません。給湯器を定期的に交換する場合、設置から10年前後を目安としましょう。

定期交換では、全住戸をまとめて行うというケースも少なくありません。給湯器の修繕費用は、1部屋あたり10万円前後です。

外部建具

アパートの玄関ドアや窓などの屋外と接する外部建具も、定期的な修繕を行わなければいけません。

外部建具の修繕を行うには部屋へ立ち入らなければいけないため、入居者と工事の日程調整が必要です。外部建具の多くは金属製ですが、防さび対策が施されているため、10年に1回程度の点検で問題ありません。

ただし、異常が見られたら速やかに対応が必要です。費用は修繕部位によって差がありますが、1ヵ所あたり3万円から5万円前後を目安にしましょう。

アパートの修繕費用を抑えるポイント

アパートの修繕費用は、時として100万円を超える高額になる場合もあります。しかし、オーナーの工夫次第でその支出を抑えることも可能です。

ここからは、修繕費用を抑えるポイントを解説します。解説する内容を参考に、少しでも出費を小さくしましょう。

修繕費も含めて建築プランを検討する

修繕費を抑えるためには、アパートの建築前から修繕費を含めて検討することが重要です。アパート経営を計画する際に毎年の家賃収入を予測し、1年ごとに予想される修繕の計画を立てましょう。

事前に修繕計画を立てることで、支出予定を知ることができるため、工事の際に費用で慌てる機会も減少します。修繕費用は先を見越して準備をすることが重要です。

つまり、アパートを建ててから検討するのではなく、アパートを建てる前から綿密な資金計画を立てましょう。

不具合が発生する前に定期的に修繕をする

修繕が必要な部位や機器を定期的に修繕することで、不具合の発生による突発的な修繕を抑えることが可能です。

定期的なメンテナンスを怠ると、数年後に大規模修繕により高額な修繕費が発生する可能性があります。定期的に修繕を行っても、建物の劣化は避けられません。しかし、劣化が拡大する前に修繕を行うことで、トータルの支出金額を小さくできます。

大規模修繕になる前に、定期的に小さな修繕を繰り返して出費を抑えましょう。

しっかりと入居審査を行う

アパートの修繕費用を抑えるためには、入居者も重要な要素です。マナーが悪く、社会的なルールを守らない人が入居すると、建物の劣化が早くなることがあります。

マナーが悪い人の入居を防ぐためにも入居審査が重要です。マナーの悪い人は建物を粗雑に扱うことが多い他、他の入居者とのトラブルを招くこともあります。管理会社に入居希望者の人柄をしっかり確認するように依頼しましょう。

火災保険をうまく使う

アパートの修繕費用を火災保険で賄えることもあります。適用外だと思っていた自然災害による修繕費が、火災保険で補填されることは実は珍しくありません。

そのため、加入している火災保険をうまく利用し、修繕による出費を抑えましょう。例えば、近年増えている水害や悪意ある第3者によるいたずらなどの修繕には、火災保険が適用となることがあります。

ただし、修繕費用のどこまでが火災保険の範囲内かは保険のプランによって異なるため、保険加入時にしっかり確認しましょう。

中古物件の場合は購入前に修繕履歴を確認する

新築ではなく中古アパートを購入し経営する場合、購入前に修繕履歴を確認することで修繕費を抑えることが可能です。中古アパートの場合、見た目に問題はなくても目に見えない部分に修繕が必要というケースもあります。
せっかく中古のアパートを購入しても、購入後に予期しなかった修繕が発生しては、不要な出費です。中古アパートを購入する際は、購入前に住宅診断などを受けておくことも検討しましょう。

専門家への相談を依頼する

アパートの修繕費を抑えるためには、専門家へ相談することも有効な手段の1つです。建物の専門家に修繕が必要な部位をチェックしてもらうことで、出費を抑えることもできます。

また、工務店などの場合、電気工事業者や塗装業者、配管業者と連携しているため、建物全体で最適な修繕を提案してくれます。

管理会社とも相談し、最適な修繕を行って出費を抑えましょう。

まとめ

この記事では、アパート経営で欠かすことのできない修繕費について解説しました。アパートの修繕をどのように行うかで、支出金額に大きな差があります。つまり、最も重要なのは定期的なメンテナンスを行い、修繕費全体を小さくすることです。

建物や設備の劣化は避けられない要素のため、修繕自体をなくすことはできませんが、工夫次第で修繕を減らすことは可能です。

この記事で解説した内容を参考に、アパートの修繕について改めて検討してみてください。