アパート経営における管理費・共益費の決め方は?相場や内訳など徹底解説!
2023年2月20日アパート経営を始めようとしている方の中には、管理費の決め方に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。アパート経営を上手く行うには、家賃収入と支出である管理費、税金などに関する知識が必要です。
もし管理費を適当に決めてしまうと、アパートオーナーと入居者の両方にデメリットがあります。
今回の記事では、アパート経営における管理費・共益費の正しい決め方やアパートの管理方法について解説します。この記事を読めば、高収益かつ安定したアパート経営をするための管理費・共益費に関する知識を得ることができるでしょう。
目次
アパート経営の毎月の管理費とは?
管理費は、アパート経営において必ず発生する費用です。アパートの修繕費用や共用部の維持管理費、各種事務処理を行うための費用など、様々な費用がこの管理費に含まれています。
この管理費をどのように表記するかは、アパートによって様々です。家賃とは別に表記して管理費を毎月請求するアパートもあれば、管理費と表記せず家賃に含めているアパートもあります。
アパートの管理費と共益費の違い
管理費と似ている言葉として、共益費があります。それでは、この管理費と共益費は違う内容を意味するのでしょうか。
結論、管理費と共益費を明確に意味の違う言葉として捉えている方は少なく、ほぼ同じ意味の言葉として使用されています。共益費は、エレベーターの管理費用やエントランスの清掃費用など、アパート入居者が共同で使用するスペースにかかる運営費用を指していることが多いです。
前述したように意味の違いはほぼないため、アパートオーナーの捉え方によってどちらかの言葉が使われています。
アパートの管理費相場は?
アパート経営を考えている方の中には、アパートの管理費相場はどれくらいなのか気になる方も多いのではないでしょうか。
アパート管理費相場は、アパートのタイプや構造によって異なります。管理費は家賃によっても大幅に変動します。
アパートのタイプごとの管理費相場は以下の通りです。
アパートタイプ | 管理費 |
1人暮らし向けアパート | 月額13,000~17,000円 |
ファミリー向けアパート | 月額17,000~21,000円 |
家賃が同じ場合、ファミリータイプのアパートの方が約4,000円高いです。
アパートの構造ごとの管理費相場をまとめたものは以下の通りです。
アパートタイプ | 管理費 |
1人暮らし向け木造アパート | 月額6,500~10,500円 |
ファミリー向け木造アパート | 月額11,000~15,000円 |
1人暮らし向け非木造アパート | 月額14,000~18,000円 |
ファミリー向け非木造アパート | 月額18,000~22,000円 |
木造物件と比べて、非木造物件の方が約5,000円高いです。
アパート経営にかかる管理費の内訳
ここからは、アパート経営で実際にどのような費用がかかるのかについて解説します。具体的な管理費の内訳は、以下の6つです。
- 委託管理費
- 入居者募集時の費用
- 都市計画税・固定資産税
- 修繕費・修繕積立金
- 光熱費・水道代
- その他雑費
最初に上げた委託管理費は、アパートの管理を委託する場合のみかかる費用です。アパート経営にかかる費用の中には、工夫次第で大幅に予算を節約できるものもあります。
上記で示した6つの内訳について具体的な内容を解説していくので、管理費用を決める際に活用してみてください。
①委託管理費
アパートの管理を委託する場合は、委託管理費がかかります。管理会社にもよりますが、委託管理費は家賃の数%という料金形態が一般的です。委託管理費を家賃の5%として計算してみましょう。家賃10万円の部屋数が10室のアパートの場合、全室の家賃の合計が100万円となり、委託管理費はその5%である5万円です。
空室のあるアパートの場合、その空室まで委託管理費の計算に含まれるかどうかは管理会社によって違うので、事前に確認しておきましょう。
②入居者募集時の費用
入居者募集時の費用は、アパートに入居者を集めるための広告費や仲介会社に支払う仲介手数料です。よほど立地の良いアパートでない限り、アパート経営に必須の費用です。
仲介手数料は、以下の金額まで徴収できることが法律で定められています。
- 貸主と借主のどちらか一方から家賃の1ヶ月分
- 貸主と借主それぞれから家賃の0.5ヶ月分
実際には、借主が家賃1ヶ月分を負担することが多いです。
③都市計画税・固定資産税
固定資産税は、土地、家屋および償却資産を所有している場合に課される税金です。不動産を所有している方には、固定資産税の納付が義務付けられています。固定資産税は、各市町村が決定する固定資産評価基準に税率1.4%をかけることで求められます。
都市計画税は固定資産税と同様に地方税であり、税率は0.3%です。固定資産評価基準に税率0.3%をかけることで、納税額を算出できます。ただし、地方税なので各市町村によって税率が異なります。必ず確認したうえで納税の準備をするようにしましょう。
④修繕費・修繕積立金
修繕費は、アパートのクリーニングや古くなった箇所のリフォームに充てられます。アパートの入居者が快適な暮らしを送るために必要な費用です。
修繕積立金は、アパートの突然の修繕に備えて積立てておく費用です。どれだけ積立てておくと良いかは、アパートの築年数や劣化具合によって異なります。ただし、一般的には家賃の5〜8%の積立てが理想的だとされています。
修繕費や修繕積立金を用意しておかないと、思わぬトラブルが起きた際にアパート経営が赤字になるリスクが高いです。必ず準備しておくようにしましょう。
⑤光熱費・水道代
光熱費・水道代は、エントランスや階段、ゴミ捨て場など、アパートの共用部分で発生するものです。入居者が支払っている光熱費・水道代は、あくまで自分の部屋で使用したものなので、管理側も光熱費・水道代を用意しておかなければなりません。
共益費として、アパートの入居者が払うように設定しているオーナーもいます。光熱費・水道代は、年間で数千円〜数万円かかります。アパートオーナーは光熱費・水道代の節約方法を考えておくと良いでしょう。
⑥その他雑費
その他雑費は、上記5つの費用以外のアパート経営にかかる様々な費用です。
その他雑費の具体例としては、以下のようなものが挙げられます。
- アパート視察のための移動費
- 管理会社や入居者と連絡をとるための通信費
- 最新の不動産情報を得るための書籍や新聞代
その他雑費にいくら使用するかは、アパートオーナー次第です。
アパート経営で管理費・共益費を決める3つのポイント
管理費・共益費は、アパート経営をするうえで欠かせない費用です。管理費・共益費がないと、部屋のクリーニングや劣化した箇所の修繕を行えません。
では、管理費・共益費はどのように決めれば良いのでしょうか。
ここでは、アパート経営で管理費・共益費を決める3つのポイントを紹介します。
- 管理費を上げて家賃は下げる
- オーナー負担の管理費から計算する
- 管理費を家賃とは別で徴収する
①管理費を上げて家賃は下げる
1つ目は、管理費を上げて家賃を下げる方法です。家賃を低く設定して管理費を上げることで、空室対策につながります。
家賃を下げて管理費を上げることが空室対策になる理由についてみていきましょう。
アパートを探している方の多くは、家賃を〇万円〜〇万円と設定して検索します。ここで、家賃6万円・管理費0円と家賃5万5千円・管理費5千円のアパートがあるとしましょう。手元に入るのはどちらも6万円です。しかし、家賃6万円・管理費0円のアパートは、家賃5万5千円を上限として探している人の目には留まりません。
家賃を下げることで検索に引っ掛かりやすくなり、アパートの周知が進むことで、空室対策につながります。また家賃を下げることで、敷金や礼金が安くなるため、入居者にもメリットがあります。
②オーナー負担の管理費から計算する
2つ目は、オーナー負担の管理費から計算する方法です。
アパートやマンションなどの不動産経営にかかる維持費は、家賃の15〜30%と言われています。家賃10万円、部屋数10部屋のアパートがあったとすると、月の家賃総額は100万円です。15%で計算すると、維持費は15万円です。維持費の15万円を10部屋で割ると、1部屋当たり管理費が1万5千円かかります。ただ、入居者からすると、管理費1万5千円の管理費は高いです。
そのため、実際はオーナーが一部負担することが多いです。礼金や更新料からまかなうなど、工夫をする必要があります。
③管理費を家賃とは別で徴収する
3つ目は、管理費を家賃とは別で徴収する方法です。
敷金礼金は、家賃の数ヶ月分と指定されることがほとんどのため、家賃と管理費を別で徴収することによって、入居希望者は費用を抑えて入居できます。
入居希望者が費用を抑えられるので、オーナー側の利益はその分少なくなります。家賃に管理費や共益費を含めるかどうかは、アパート経営における損益のバランスを考えた上で決定するようにしましょう。
アパート経営の管理方法
アパート経営の管理方法は2つあります。自主管理と委託管理です。
自主管理と委託管理には、それぞれメリットとデメリットがあります。ここでは、アパート経営の管理方法について、メリットとデメリットを交えながら解説します。
自主管理
自主管理は、アパートオーナーが自ら管理を行う方法です。アパート管理には多くの手間と時間が必要で、細かいところまで管理するのは難しいです。そのため、多くのアパートオーナーが管理を委託しています。
特に、複数のアパートを保有するオーナーが自主管理を行うのは厳しいため、委託管理をしていることが多いです。
自主管理のメリット
アパートの自主管理には、以下のようなメリットがあります。
管理費用を安く抑えられる
アパートの管理を管理会社に委託すると、家賃収入の数%を支払う必要があります。自主管理にすることで、管理会社に支払う費用を自分の収入にすることができます。
自分の思いのままアパート管理できる
アパート経営をするオーナーには、それぞれ自分の理想とするアパート経営の形があるでしょう。自主管理を選ぶと、その理想をそのまま実践できます。もし自分の思いのままにアパート経営を行いたいという方は、自主管理がおすすめです。
自分のアパートの現状についていち早く知れる
アパート経営を自主管理で行うと、アパートの現状についていち早く情報が得られます。アパートにおける不具合や、騒音を起こすような入居者への素早い対処が可能です。
自主管理のデメリット
アパートの自主管理には、メリットだけでなく以下のようなデメリットもあります。
多大な手間と時間がかかる
アパート経営を自主管理で行う最大のデメリットは、膨大な手間と時間を要することです。アパート経営には多くの業務があります。アパートの掃除や入居者からのクレーム対応、家賃未納者への催促など多岐に渡ります。
これらの業務に時間を取られ、入居者を集めるための施策に時間が取れず、空室が発生してしまうというリスクもあります。
負担を軽減しながら効率的なアパート経営をしたい場合は、管理会社に管理を委託するのがおすすめです。
長期休暇をとりづらくなる
アパート経営を自主管理で行うと、アパートで何か緊急事態が起きた際に駆けつける必要があります。そのため、アパートオーナーは長期の休暇を取りづらいです。
委託管理
委託管理は、アパートの管理を管理会社に委託する方法です。自主管理とは異なり別途委託管理費はかかりますが、メリットもあります。委託管理でアパート経営を行うメリットやデメリットについて、それぞれ詳しく解説します。
委託管理のメリット
アパートの委託管理には、以下のようなメリットがあります。
管理における手間や時間を大幅に削減できる
管理会社に委託する最大のメリットは、アパート経営に必要な手間や時間を大幅に削減できることです。アパート経営には、建物の修繕や入居者の募集、緊急事態の対応など多くの業務があります。管理会社にそれらの業務を委託することで、手間と時間を大きく節約できます。委託管理費用はかかりますが、アパート経営だけでなく他にも仕事をしている方には、おすすめの管理方法です。
管理会社からアパート経営のノウハウを学べる
管理会社は数多くのアパートやマンションの管理を行っているため、アパート経営における豊富な経験とノウハウを持っています。管理会社とともにアパート経営を行うことで、アパート経営のノウハウを学ぶことができます。アパート経営を初めて行うオーナーの方におすすめです。
委託管理のデメリット
ここでは、アパート経営を委託管理で行うデメリットについて紹介します。
委託管理費・手数料がかかる
管理会社に管理を委託すると、管理委託費と仲介手数料がかかります。
管理委託費は、家賃の数%と決められることが多く、アパートの総家賃の数%を管理会社に支払う必要があります。仲介手数料は、入居が新たに決まった場合に払う費用です。支払い額は、家賃の0.5ヶ月〜1ヶ月分と法律で定められています。
管理会社選びの手間がかかる
管理会社には、悪質な企業も存在します。そのため、管理会社は慎重に選ぶ必要があります。
もし管理会社を選ぶ際には、実績が十分か、担当者は親身になって相談に乗ってくれるか、料金は適正か、など複数の管理会社を調べるのがおすすめです。
委託管理の費用相場
管理会社にアパートの管理を委託した際の費用について、以下で表にまとめました。管理会社に委託するか決める際には、ぜひ参考にしてみてください。
【家賃10万円の部屋が10室あるアパート】
費用項目 | 費用 |
管理委託費 | 家賃の3%~7%
10万円×10部屋=100万円 管理委託費は3万~7万円 ※空室を含めるかどうかは管理会社に よって異なります。 |
仲介手数料 | 家賃の0.5ヶ月~1ヶ月分
仲介手数料は5万~10万円 |
アパート経営における管理業務
アパート経営における管理業務は多岐に渡りますが、主に3つの項目に分けられます。
- 入居者の管理業務
- 建物の管理業務
- 入居関連の管理業務
それぞれ詳しく見ていきましょう。
入居者の管理業務
1つ目は、入居者の管理業務です。入居者の管理業務は、以下のようなものです。
- 緊急時やクレームの対応
- 契約の更新
- 家賃の回収
まず、緊急時やクレーㇺの対応です。アパートで緊急事態が起きた場合、すぐにマンションに向かう必要があります。また、入居者からのクレームがあった際には、早急に原因を改善しなければなりません。
次に、契約の更新です。入居者が長期間アパートに住む場合、一定期間ごとに更新料を払う必要があります。その際、更新料の説明や入金の確認などの業務が発生します。
最後に、家賃の回収です。家賃の入金確認だけでなく、未納の入居者がいる場合は、家賃を振り込むように催促する必要があります。
建物の管理業務
2つ目は、建物の管理業務です。建物の管理業務としては、主に以下の2つが挙げられます。
- 建物のメンテナンス
- 法定点検
まず、建物のメンテナンスです。アパートの入居者が快適に暮らせるように、故障したり劣化したりした部分があれば、修繕を行う必要があります。
次に、法定点検です。アパート経営を行う場合、法令で定められている点検作業をする必要があります。これらの作業は、自主管理の場合でも自分で実施してはいけません。オーナーは専門業者を探して、依頼する必要があります。
入居関連の業務
3つ目は、入居関連の業務です。主な入居関連の業務は、以下の2つです。
- 新規契約希望者の審査
- 入居募集
まず、新規契約希望者の審査です。アパートの新規契約希望者がいる場合、その希望者に家賃の支払い能力があるのか審査する必要があります。審査に通らなかった場合は、仲介会社へ審査に落ちた旨の連絡をします。審査では入居希望者の個人情報を取り扱うため、十分に注意したうえで行うようにしましょう。
次に、入居募集です。入居者の募集は、仲介会社に依頼するのが一般的です。複数の仲介業者に依頼する方法や、1社だけに依頼する方法があります。内覧の立ち合いも全て仲介会社に依頼する場合は、仲介業者に鍵を渡しておく必要があります。もし自分も内覧に立ち合いたい場合は、仲介会社と日程調整をしましょう。
まとめ
今回の記事では、アパート経営を考えている方やアパート経営を始める方に向けて、管理費・共益費の決め方や相場、費用の内訳について解説してきました。
本文でも解説した通り、管理費や共益費には様々な決め方があります。自分が理想とするアパート経営を考えつつ、損益のバランスが取れる管理費・共益費を設定しましょう。
管理費や共益費を決める際は、本記事を参考にしてみてください。