入居者は家賃の値上げを拒否することは可能?家賃値上げを伝える時の注意点などを徹底解説!
2023年7月26日入居者にとって、家賃の値上げは負担となります。しかし、その所有物件を維持するための費用が高騰したり、物価などの経済事情が変わったりすることによる影響で、家賃の値上げが必要な場合もあるでしょう。
そこでこの記事では、入居者が家賃の値上げに反発することを避けるために知っておきたいポイントについて徹底的に解説します。入居者が家賃値上げに反発することはありますが、値上げする理由をきちんと説明することで、双方が納得できる場合もあります。
家賃の値上げを検討している方は、ぜひ読んでみてください。
目次
家賃が値上げされるのはなぜ?
大家として、家賃を値上げする理由はいくつかあります。最も一般的な理由は、建物の維持管理費や共有部分の修繕費がかかることです。その他にも、地域の物価上昇や、自然災害などの影響で不動産市場に影響が出た場合なども大家側が家賃の値上げを決断する場合があります。
大家が家賃を値上げする理由を詳しくみていきましょう。
大家が納める税金の負担が増えた
大家は、その物件について納税を行う必要があります。国や地方自治体による課税額は、時期によって変動することがあります。特に都市部での不動産は、高額課税されることがあります。
そのため、大家は納税の負担が増えたとき、入居者の家賃を値上げすることでその負担を減らさないとならないのです。
物価など経済事情が変わった
物価が上昇すると、日用品などの価格も上昇します。その影響を受けて、建物の修繕や管理に必要な費用も上昇するため、大家は家賃を値上げが必要なのです。
近隣の相場よりも安かった
家賃が近隣に比べて安い場合、その物件が持つ価値よりも賃料が低いため、大家の損失となります。そのため、市場価格に合わせて家賃を引き上げる必要があります。また、近隣の物件の賃料が上昇した場合は、それに合わせて家賃を値上げすることもあります。
家賃を値上げするタイミングは更新時はNG
家賃を値上げする場合、どのようなタイミングで伝えるべきかも重要なポイントです。一般的には更新時に家賃を値上げすることが多いです。ただし、契約更新のタイミングで値上げをする場合、法定更新というリスクがあります。
家賃値上げを検討する際には、契約更新日に合わせて計画を立てるか、更新日を過ぎた後に改めて家賃交渉をする方が良いでしょう。また、法律に基づいた手続きを適切に行い、入居者とのコミュニケーションを大切にすることでトラブルを未然に防ぐことができます。
途中で家賃値上げを行う必要がある場合は、トラブルを回避するためにも家賃値上げの十分な理由を提示し、入居者側と誠実な対話をするようにしましょう。
拒否されないように家賃の値上げを伝えるときのポイント
不動産オーナーにとって、定期的な家賃の値上げは必要です。しかし、入居者が拒否することでトラブルが起こる場合もあります。ここからは、入居者に拒否されないように正しく家賃の値上げを伝えるポイントを解説します。
1. 入居者にもメリットがあることを伝える
家賃の値上げを伝える際に最も大切なことは、入居者に家賃値上げについて納得してもらうことです。家賃の値上げは入居者にもメリットがあることを伝えれば、受け入れてもらいやすくなるでしょう。
具体的には、家賃を上げることでセキュリティ面の向上や設備の更新、トラブルに対するサポートなどが挙げられます。入居者にとってメリットとなる点を具体的に提示し、相手の立場に立って話すようにしましょう。
2. 根拠をきちんと提示する
家賃の値上げを伝える際に大切なポイントは、根拠をきちんと提示することです。入居者に対して、感情的な言い分を並べたり、不当な理由で値上げするといったことがあってはいけません。
家賃の値上げの根拠となる情報をあらかじめ整理しておき、納得がいく説明を用意しましょう。たとえば、同じ地域内にある類似物件の家賃相場が上昇している、メンテナンス費用が増えた、物件価値の維持に必要な費用が増えたなどです。
3. 適正な値上げ額になるようにする
家賃の値上げは、入居者にとって負担になります。そのため、値上げ額が適正であるかどうかも大切です。値上げ額は、一般的な市場価格や周辺物件の相場価格を基準にし、築年数や周辺環境などを考慮して決めるようにしましょう。
また、値上げ幅が大きすぎると入居者からの反発を受ける恐れがあるので注意が必要です。
4. リノベーションや共有部分の設備を改善する
家賃の値上げをするときには、物件自体の価値を高めることが重要です。入居者が快適に生活できるよう、リノベーションや共有部分の設備を改善することで、家賃の値上げに対しても納得してもらいやすくなります。
たとえば、ユニットバスを交換したり、キッチンを改修したり、新しいエレベーターを設置したりするなど、改善する箇所はさまざまです。これらの改善は、入居者だけでなく、将来的な入居者にもアピールすることができます。
5. 普段から入居者の不満がたまらないようにする
急に大幅な値上げを伝えると、入居者が驚くこともあります。そうならないためにも、家賃の価格や物件の条件が変化することについては、入居者に対して随時伝えるようにしましょう。
定期的なメンテナンスやトラブルに対する迅速な対応、入居者とのコミュニケーションを密にすることで、物件に対して高い評価を持ってもらうことができます。また、住む場所についての不満がたまらないよう、入居者の要望にできるだけ答えていくことも大切です。
家賃の値上げは、オーナーの収入にとって重要な要素ですが、入居者の負担が大きいものでもあります。拒否されないように値上げ額は適切にし、物件自体の価値を高めるように投資し、入居者とのコミュニケーションを密にするように心がけてください。
家賃値上げをする際の注意点
賃貸物件を所有しているオーナーにとって、家賃値上げは重要な収入源であり、経営上不可欠です。しかし、借り手にとっての家賃値上げは、大きなストレスを引き起こす問題でもあります。
家賃が値上がりすることによって、入居者が引越しを決めてしまう可能性もあります。そうならないためにも、値上げをする際は十分な注意が必要です。ここからは、家賃値上げをする際に、注意するべき点について詳しく解説します。
早めに家賃の値上げを伝えるようにする
家賃を値上げするタイミングを見誤ってしまうと、入居者とのトラブルや退去者増加などのリスクが生じます。そうならないためにも、家賃の値上げは早めに伝えましょう。早めに伝えることで、入居者は住み続けるか検討することができます。
場合によっては、家賃の値上げで引っ越してしまうこともありますが、その意思を早く知ることができれば、次の入居者募集もしやすいので大家にもメリットはあります。
事前に書面で通知しておく
家賃を値上げする場合は、早めに通知することはもちろん大切ですが、伝え方にも気を付けましょう。家賃の値上げをする場合は、事前に書面で通知するとトラブルを未然に防ぐことができます。
たとえば、口頭で伝えると聞いていない、知らないなどのトラブルにつながる可能性があります。また、書面で通知することによって、入居者が家賃値上げに対する意思決定を行う十分な時間を与えることができます。
トラブルにならないように気を付ける
家賃値上げをする場合、トラブルにならないようにすることが非常に大切です。トラブルが生じてしまうと、入居者との関係性を悪化させ、最悪の場合双方弁護士を立てて法的な争いになってしまう可能性もあります。
また、トラブルが生じた場合には、それを解決するために多くの時間やお金を費やすことになります。家賃値上げをする場合には、入居者との関係性を意識し、トラブルにならないように注意することが重要です。
家賃値上げ交渉のリスク
不動産オーナーにとって、建物を家賃という形で貸し出すことは重要なビジネスです。しかし、家賃値上げ交渉は入居者にとって負担になってしまう場合があり、しばしばトラブルに発展することがあります。
ここでは、家賃値上げ交渉に際して懸念されるリスクについて解説します。
入居者が退去してしまうかもしれない
最も大きなリスクは、入居者が値上げに反発して家賃交渉を拒否し、退去してしまう可能性があることです。不動産オーナーにとって入居者が退去することは困難ですが、退去してしまうと新たに入居者を見つけることが必要になります。
入居者が退去することで、空室による収入の減少や、家賃収入の支払い猶予が必要になるなどの問題が発生する可能性があります。
訴訟に発展するかもしれない
家賃値上げに対して反発が強い場合や、法律に基づいた手続きを踏まずに無理な家賃値上げを行うと、訴訟に発展する可能性があります。家賃値上げの時期や方法、値上げ幅については入居者と対話し、納得してもらうことが重要です。
また、入居者と定期的に面談を行うことで、コミュニケーションがとれるので問題を未然に防ぐこともできます。家賃値上げに関するトラブルが起こらないよう、アットホームな関係を築くことが、不動産投資の成功につながります。
法定更新になることがある
法定更新とは、契約更新のタイミングで入居者から同意が得られなかった場合、今までの契約条件で自動更新されることを指します。この場合、家賃値上げ交渉を行うことはできず、次の契約更新まで待つことになります。
そのため、値上げを検討する際には、更新日を過ぎた後に改めて家賃交渉をするか、更新日に合わせて計画を立てることが重要です。
家賃の値上げに対して入居者は拒否・交渉はできる?
家賃の値上げに対して入居者は、拒否や交渉をすることができます。入居者が家賃の値上げに同意しない場合は、オーナーは家賃を強制的に引き上げることはできません。家賃値上げは、大家と入居者の合意が必要で、金額面の交渉が行われることもあるでしょう。
入居者が値上げに同意しない場合、調停や訴訟に発展する可能性もあります。
家賃の値上げを拒否されたらどうする?
交渉の場合、両者が合意する条件を見つけ出すことが重要です。しかし、合意案が見つからない場合は、仲裁機関を利用するなど解決策を見つける必要があります。裁判では適切な根拠があれば、大家側の主張が認められることが多いですが、解決には時間もお金もかかります。
交渉が決裂しそうになったら、消費生活相談窓口(消費者センター)に相談すると良いでしょう。また、大家も入居者も、お互いの立場を理解しあうことが大切です。大家が家賃の値上げを決断する場合、入居者側にもその理由をわかりやすく説明し、十分に話し合うようにしましょう。
まとめ
この記事では、入居人から家賃値上げを拒否されたときの対応方法について詳しく解説しました。入居者が家賃値上げを拒否することはできますが、大家としてはなぜ家賃の値上げをするのか、その理由を伝える必要があります。
また、家賃を値上げするタイミングも重要なポイントなので、大家側は契約書の確認や入居者側に十分な説明を行い、トラブル回避に努めましょう。ぜひこの記事を参考に、入居者に納得してもらえるような説明をし、トラブルを回避するようにしてください。