家賃収入が20万円以上の場合は確定申告が必須!やり方や必要なものを紹介!
2023年7月26日土地活用の1つとして、賃貸経営を行っている方も少なくありません。しかし、賃貸経営によって家賃収入がある場合、確定申告が必要になるケースがあります。
家賃収入の確定申告は収益いくら以上から必要なのか、経費にできる費用には何があるのかなど複雑な条件があり混乱してしまうという方も少なくないのではないでしょうか。
そこでこの記事では、確定申告が必要なのはどのような場合なのか、確定申告の方法などとともに解説していきます。
目次
家賃収入と確定申告の関係性
家賃収入と確定申告にはどのような関係性があるのでしょうか。ここでは、家賃収入の内訳や確定申告との関係性について解説していきます。
家賃収入とは?
家賃収入とは、所有するアパートやマンションなどの賃貸物件の入居者から賃料を受け取る収入のことです。家賃収入は不動産投資の1つで、相続や購入などで取得した土地に賃貸物件を建設して行います。
家賃収入の内訳
家賃収入の内訳は、賃貸物件の賃料だけではありません。
毎月の賃料に加え、入居時の礼金や契約更新時の更新料、共益費なども家賃収入に含まれます。また、入居者用の駐車場も設置している場合、駐車場の賃料も収入に含まれます。
家賃収入が20万円以上の場合は確定申告が必須
家賃収入が年間で20万円以上になる場合は、確定申告が必要です。
確定申告とは、所得にかかる税金の額を計算して納税するために行う手続きです。家賃収入から必要経費を差し引いた額が不動産所得として課税対象となります。
確定申告の提出期限
確定申告の提出期限は、原則として毎年2月15日から3月15日の1ヶ月間です。
決められた期限内に提出しない場合には無申告加算税が、納税が遅れた場合には延滞税がそれぞれ加算されてしまうため、期限内に提出するようにしましょう。
確定申告しなくても良いケース
家賃収入がある場合でも、確定申告しなくても良いケースが以下のようなケースです。
- 納める税金がない
- 家賃収入が20万円以下
納める税金がない
確定申告は、所得にかかる税金の額を計算し納税するための手続きです。したがって、家賃収入による不動産所得が赤字の場合納税が発生せず、確定申告も必要がないのです。
また、所得控除の額よりも不動産所得の方が低い場合も同様に確定申告が必要ありません。
家賃収入が20万円以下
家賃収入が20万円以下の場合も、確定申告の必要がありません。正確には、不動産所得が20万円以下の場合ですので、家賃収入から必要経費を差し引いた額が20万円以下の場合、確定申告はしなくても良いのです。
家賃収入にかかる税金
ここからは、家賃収入にかかる税金や計算方法について詳しく解説します。
内部リンク「家賃収入 税金シミュレーション」に誘導する
所得税
まず初めに所得税についてです。家賃収入にかかる所得税は、【不動産所得×所得税率】で算出可能です。
所得税率は、課税対象である所得金額によって変動します。課税対象である所得金額については、給与所得や不動産所得を合計した額から各種控除を差し引いた金額です。
住民税
住民税とは、1月1日の時点で住民登録している都道府県や市区町村の自治体に納める地方税の1つです。
住民税は所得金額をもとにして算出されます。若干の地域差はありますが、基本的には都道府県民税が4%、市町村民税が6%となっています。
家賃収入で経費にできるもの
家賃収入がある方が確定申告する場合、先述したように収入から必要経費を差し引いた不動産所得を算出する必要があります。
そこでここからは、必要経費として計上できるものについて解説していきます。いずれの項目についても、原則として支払いが証明できる領収書などが必要です。
ローン金利分・管理委託手数料
ローンの借り入れがある場合、返済金額ではなく金利部分のみ経費として計上できます。金利の額は、金融機関などから送付されるローン償還表などで確認可能です。
また、賃貸物件の管理業務を管理会社に委託している場合には、管理委託手数料も経費として計上できます。
原状回復費用や修繕費用
賃貸経営では、入居者が退去したあとにクロスや壁紙の張り替えや設備の入れ替えといった原状回復が必要になることがあります。このとき、入居者による故意や過失によるものであれば費用を請求することができますが、経年劣化はオーナーが費用を支払います。
また、賃貸物件の外壁や外構などの共用部分の修繕費も定期的に必要です。実際には、修繕費用を見越して家賃に上乗せされているケースも多いですが、これらの費用は賃貸経営において必要な経費として計上することが認められています。
減価償却費用
減価償却費用とは、建物の購入にかかった費用を毎年経費として少しづつ計上していく費用です。
減価償却費用は、【建物の購入価額×償却率】で算出可能です。償却率は建物の構造や耐用年数によって異なります。
以下の表で、建物の構造ごとに耐用年数と償却率を掲載しています。ぜひ参考にしてみてください。
【建物の構造ごとの耐用年数と償却率】
構造 | 耐用年数 | 償却率 |
鉄筋コンクリート造 | 47年 | 0.022 |
重量鉄骨造 | 34年 | 0.030 |
木造 | 22年 | 0.046 |
参照元:国税庁HP 「主な減価償却資産の耐用年数」「減価償却資産の償却率表」
火災保険料・地震保険料
火災保険や地震保険に支払う保険料も経費として計上可能です。
住宅ローンを組む場合、火災保険は加入が必須ですが、地震保険は任意です。しかし、万が一の災害の際には、莫大な被害も想定されるため、任意であっても加入しておくと安心です。
租税公課
租税公課とは、国や地方自治体に納める租税と、公共団体などに納める公課をあわせた勘定科目のことで、この租税公課の中にも経費として計上できるものがあります。
固定資産税
固定資産税とは、毎年1月1日の時点で所有する土地や建物に対して課せられる税金です。居住地の自治体から納付書が送付され、分割払い・一括払いから選択可能です。
都市計画税
地方税法によって市町村が課すことができる税金で、市街化区域の土地・建物に課せられます。生活道路や下水道の整備や拡充を目的とした税金です。
登録免許税
登録免許税とは、不動産登記をする際に課税される税金です。所有権保存登記や移転登記などの登記申請の際に納めます。
不動産取得税
不動産取得税とは、取得したり増改築したりする際に1度だけ課せられる税金です。不動産を事業用として使用する際に、経費として計上できます。
個人事業税
個人事業税とは、個人事業主が都道府県に納める税金です。290万円の事業主控除があるため、前年の所得が290万円以上の場合に発生します。
その他経費
その他にも経費に計上できるものはいくつかあります。
- 確定申告や登記申請の代行を専門家に依頼した際の報酬
- 物件の管理や契約に関する交通費・水道光熱費
上記のような費用も必要経費と認められます。ただし、過度に経費がかかっている反面、所得の低い状態が続くと金融機関からの融資を受けるのが難しくなることも考えられます。
確定申告時に必要なもの
では、実際に確定申告の際に必要なものにはどのようなものがあるのでしょうか。
確定申告には青色申告と白色申告の2種類があります。青色申告をするためには、事前に「開業届」と「青色申告承認申請書」を税務署に提出しておく必要があります。白色申告には青色のような事前の申請は必要ありませんが、節税効果は低いです。
それぞれのメリット・デメリットを理解したうえで条件の合う方法を選びましょう。
確定申告書
確定申告をする際、すべての方に必要な書類が所得税の確定申告書の原本です。前年にも確定申告を行った場合には、確定申告の時期が近くなったころ自宅まで郵送で届きます。
はじめて確定申告をする方は、税務署の窓口で受け取ることが可能です。また、国税庁のサイトからダウンロードすることもできます。
不動産所得用の青色申告決算書
こちらは、青色申告を行う場合にのみ必要な書類です。
青色申告決算書とは、損益計算書・損益の内訳書・貸借対照表で構成される書類です。一般用・農業所得用・不動産所得用・現金主義用の4種類あるため、家賃収入による確定申告には、不動産所得用を選びます。
不動産所得用の収支内訳書
収支内訳書は、白色申告を行う際に確定申告書と併せて提出する書類です。
収支内訳書には一般用・農業所得用・不動産所得用の3種類があるため、家賃収入による確定申告には不動産所得用を選びます。
収入のわかるもの
収入金額がわかる書類も書類記入時などに必要です。金融機関の通帳や、契約書など、家賃収入の額が記載されているものを準備しましょう。
賃借人の氏名や家賃月額がわかる資料
貸借人の氏名・家賃の月額・貸借期間・敷金・礼金などの詳細が記載された資料や契約書も準備しておきましょう。
必要経費のわかるもの
通帳や領収書、請求書などの必要経費のわかるものも必要です。
特に銀行の振込用紙やローンの支払い明細書、固定資産税や各保険料の領収書などがあると良いでしょう。
家賃収入の確定申告の流れ
では、ここからは家賃収入の確定申告を行う際の流れについて解説していきます。ここでは、国税庁の「確定申告書作成コーナー」を利用して申告書を作成する方法について説明します。
確定申告の方法はいくつかありますが、Web上で申告書を作成できるため窓口に書類をもらいに行く手間が省けます。
書類作成する手順
国税庁が提供する確定申告のためのWebサイト「確定申告書作成コーナー」を利用して書類を作成していきます。
確定申告の際に必要な書類は事前に揃えておきましょう。
Webで「確定申告作成」をクリックする
引用元:「国税庁 確定申告書作成コーナー」
まずは、国税庁の「確定申告書作成コーナー」にアクセスし、「作成開始」をクリックします。
作成する書類の選択と書類・申告書を選択し作成する
次に、確定申告書の提出方法を選ぶと、作成する書類の選択画面になります。家賃収入での確定申告の場合は、「決算書・収支内訳書」を選択し申告書作成に進みます。
Web画面上で、賃貸料・礼金・更新料などの項目のとおりに金額を入力していくことで書類作成が可能です。
所得金額や税額、減価償却費なども指示のとおり順番に入力していくと自動で計算されるので、ミスも少なく手間もかかりません。
確定申告書類の提出方法
確定申告書作成コーナーで作成した申告書の提出方法には、以下のような方法があります。
- e-taxを利用して提出する
- 印刷して、税務署に直接提出する
- 印刷して、時間外収受箱に投函する
- 印刷して、郵送する
e-taxを利用して提出する場合には、事前に税務署でIDとパスワードの申請をする必要がありますが、その後は直接出向かずにWebから提出が可能です。
それ以外の方法で提出する際には控えを作成しておき、提出した際に受け取り印を押印してもらうと手元に資料として残せます。
まとめ
賃貸経営によって家賃収入を得ている方は、その所得金額が20万円を超える場合に確定申告が必須です。
確定申告書の作成方法には手書きで行うだけでなく、Web上で申告書の作成や提出まで行える手軽な方法もあります。税金に関する書類と聞くと、苦手意識を持つ方も少なくないと思いますが、近年は手間や時間を省ける方法があり便利になっています。
家賃収入が入るようになり、確定申告が必要になったという方は、この記事を参考にしてみてください。