アパート経営

賃貸併用住宅が危険といわれるわけを徹底解説!コツを知れば安定して収入を得ることができる!

2023年7月25日

賃貸住宅経営の中でも人気のある賃貸併用住宅ですが、中には賃貸併用住宅の経営は危険だという声もあります。なぜ賃貸併用住宅の経営は危険だと言われるのでしょうか。

そこでこの記事では、賃貸併用住宅が危険だといわれる理由や、リスクを回避するコツなどを解説していきます。賃貸併用住宅を検討している方は、ぜひ参考にしてください。

目次

そもそも賃貸併用住宅とは?

賃貸併用住宅とは、自宅と賃貸住宅を併用している物件のことです。1階部分を賃貸物件として貸し出し、2階部分を自宅として生活するというような使い方をします。

賃貸併用住宅ならば、自宅に住みながら同じ建物の賃貸部分の家賃収入を得ることが可能です。ローン返済や家族のライフスタイルの変化など、長期的な利用計画を立てることでより有効に活用できるでしょう。

賃貸併用住宅を建てるまでのステップ

賃貸併用住宅を建てるまでの流れは以下のとおりです。

1.相談する

賃貸併用住宅の建設を決めた場合、まずは住宅メーカーや設計事務所、工務店などに相談することから始めます。建物の規模や間取り、予算などを業者側にしっかり伝えましょう。

2.プランニングする

相談した際に伝えた内容をもとに担当者がプランニングを行います。このとき、提案された間取りなどに気になる点がある場合には、意見を伝えて修正してもらうことも可能です。

この段階までは、複数の業者へ相談してプランニングしてもらうことができます。間取りや資金計画など、希望に沿ったプランニングをしてくれる業者を比較検討しましょう。

3.契約する

相談した業者から提案されたプランニングの中から条件に合うものを選び、その業者と契約を結びます。契約後にはローン審査に進み、承認が下りたらつなぎ融資を利用して着工金の支払いを済ませます。

4.建築する

着工金の入金が確認されたら、いよいよ建築が始まります。木造住宅の場合、一般的には建築期間は4ヶ月ほどといわれていますが、階数や規模などが大きくなればその分建築期間も長期間必要です。

5.入居者を募集する

賃貸併用物件の場合、入居者を募集する必要があるため、建築期間中から入居者の募集を始めます。

入居者の募集も含めた賃貸住宅の管理に関しては、一般的には業者に頼むケースが多いです。建築を依頼した業者にそのまま依頼することも可能ですが、他社に依頼することもできます。

6.建物完成&入居する

建物が完成したら入居開始です。オーナーが自宅部分に入居し、賃貸部分には募集した入居者が入居します。ここから住宅ローンでの残金支払いと、入居者からの家賃入金も開始されます。

【デメリット】賃貸併用住宅が危険と言われるわけ

自宅として住みながら家賃収入も見込める賃貸併用住宅ですが、危険だという意見も少なくありません。ここからは、賃貸併用住宅が危険だといわれる以下の4つのデメリットについて詳しく解説していきます。

  • 通常の住宅より借入額が大きくなるから
  • 通常のアパートより収益性が低いから
  • 入居者の確保が難しい可能性があるから
  • オーナーと入居者でトラブルの可能性があるから

通常の住宅より借入額が大きくなるから

賃貸併用住宅は、通常の住宅と比較して借入額が大きくなることが多いです。1つの建物内に大家の自宅と賃貸住宅両方の設備が必要になり、その分建築費用がかさみます。

建築費用がかさむと、金融機関からの借入額も多くなります。借入額が多いと毎月の返済金額が大きくなったり、返済期間が長くなったりと大家への負担が大きくなるため、危険といわれるのでしょう。

通常のアパートより収益性が低いから

通常のアパートは建物すべてを賃貸用の物件とすることができますが、賃貸併用住宅の場合、大家の自宅部分と入居者に貸し出す賃貸部分があります。

そのため、賃貸住宅として貸し出せる部屋数が通常のアパートに比べて少なくなるケースがほとんどです。貸し出す部屋が少ないとその分家賃収入が下がり、収益性が低くなってしまうのです。

入居者の確保が難しい可能性があるから

賃貸併用住宅の経営を成功させるためには、賃貸部分に安定して入居者が入ることが必要です。

しかし、エリアや条件によって、入居者を集めるのが難しいケースも考えられます。なぜなら、大家の自宅としての住み心地と、賃貸の利便性や人気のエリアの条件は必ずしも合致するとは限らないからです。

入居者が集まらず空室が出ると収益が上がらず、ローン返済が計画通りに進まず大家の負担が大きくなってしまうかもしれません。

オーナーと入居者でトラブルの可能性があるから

同じ建物内に入居者と大家が住んでいる場合、通常のアパートに比べてお互いの距離感が近いため頻繁に顔を合わせることとなります。

もちろん良い関係性が保たれているときは問題ありませんが、入居者との間にトラブルが起きるとそのまま関係性が悪くなってしまう恐れがあります。これは賃貸併用住宅ならではの問題と言えるかもしれません。

賃貸併用住宅のメリット

賃貸併用住宅は危険だといわれることが多いですが、賃貸併用住宅だからこそのメリットもあります。ここからは、賃貸併用住宅のメリットについて詳しく解説していきます。

  • 安定した収入を得られる
  • 家賃収入でローン返済ができる
  • 個別に建てるより支出を抑えられる
  • 住宅ローンとして融資を受けられる
  • 生活スタイルの変化に柔軟に対応できる
  • 節税効果が期待できる

以上の6点について解説します。

安定した収入を得られる

賃貸併用住宅は、賃貸部分に入居者がいる限り家賃収入が見込めます。経営が軌道に乗り、賃貸部分が満室である状態が継続することで安定した収入を得ることが可能です。

安定した入居者を得られるようなノウハウを把握しておくことが大切です。

家賃収入でローン返済ができる

賃貸併用住宅の場合、家賃収入をローン返済に充てることが可能です。自宅専用の住宅を建てた場合に比べて、ローン返済の負担が軽くなると考えられます。

また、借入額が少ない場合や部屋数が多く家賃収入が多い場合には、家賃収入だけでローン返済が可能です。

個別に建てるより支出を抑えられる

賃貸住宅と自宅を個別に建てる場合と比べて、1つの建物に両方の要素をとりいれた賃貸併用住宅の方が建築費用を抑えることができます。

住宅を建てる際に、費用の多くを占める基礎部分の工事と屋根の工事が建物1棟分で済むことからです。

住宅ローンとして融資を受けられる

賃貸併用住宅の場合には、住宅ローンを利用することができるので、通常のアパートローンよりも低い金利で融資を受けることができます。また、住宅部分の面積に応じて住宅ローン控除も適用されます。

ただし、自宅部分の面積が全体の50%以上であることなどの条件を満たす必要があるので、事前にしっかり確認することが必要です。

生活スタイルの変化に柔軟に対応できる

賃貸併用住宅には、生活スタイルの変化にも柔軟に対応できるというメリットがあります。

建築当初は賃貸住宅として貸し出していた部分に親世帯を住まわせ、二世帯住宅として利用し、子どもが自立した後賃貸部分に移り住み、住居部分を貸し出すことも可能です。

幅広い使い方ができることも、賃貸併用住宅ならではのメリットと言えるでしょう。

節税効果が期待できる

賃貸併用住宅には、節税効果も期待できます。以下で、不動産取得税・固定資産税・相続税、それぞれの節税効果について詳しく解説します。

不動産取得税

不動産取得税とは、不動産を取得した際に課せられる都道府県税のことです。賃貸併用住宅は、床面積が50平米以上240平米以下の場合に軽減措置が適用されます。

固定資産税

固定資産税とは、毎年1月1日時点で固定資産を所有している方に課せられる市町村税のことです。固定資産税にも、条件によって軽減措置が用意されています。

各条件は以下のとおりです。

  • 住居1戸あたり200㎡を超える場合:固定資産税が3分の1に軽減
  • 住居1戸あたり200㎡を超えない場合:固定資産税が6分の1に軽減

軽減率が高く節税効果も大きいので、必ず事前に確認しましょう。

相続税

相続税とは、相続によって取得した財産に課せられる税金のことです。

賃貸併用住宅の場合、自宅専用の場合と比べて相続税評価額が2割ほど低く評価されます。さらに、条件を満たすと小規模宅地等の特例が適用された場合には、最大300平米の居住用宅地が8割まで軽減措置を受けることが可能です。

賃貸併用住宅で知っておくべきポイント4選!

ここまでは、賃貸併用住宅に関するメリット・デメリットについて解説しました。自宅専用の住宅や、賃貸専用のアパートなどとは異なる点があるため、事前に確認しておくべき事柄も少なくありません。

そこでここでは、賃貸併用住宅で知っておくべきポイントについて解説していきます。

①目的と目標を明確にする

賃貸併用住宅の建築を検討する際には、その目的と目標を明確にしておく必要があります。

賃貸経営をする目的には、「安定収入の確保」「節税効果への期待」「投資」などがあります。これらの目的を具体的にし、資金や建物の規模、住宅ローンの借入額などを正確に分析することが大切です。

②市場調査を抜かりなく行う

賃貸併用住宅を建てる際には、市場調査をしっかりしておくことも大切です。

建築予定の地域の家賃相場や、近隣の賃貸物件の入居状況なども調べておきましょう。物件が多い地域では、供給過多によって空室が出てしまう恐れもあります。

また、どのような間取りの物件が人気が高いのかも調べておく必要があります。人気の間取りによって、どのような客層が地域に多いのかがわかり、建築計画に反映できるでしょう。

市場調査は部屋の空き状況に直結する要因なので、しっかり調査しておきましょう。

③信頼できる不動産管理会社に依頼する

賃貸併用住宅が完成した後のことも、しっかり計画しておかなくてはいけません。

賃貸部分の管理業務は、一般的に業者に依頼するケースが多いです。建築を依頼した業者がそのまま対応できる場合もありますが、賃貸物件専門の管理会社に依頼することもできます。

入居者募集や入居・退去時の手続き、家賃の回収や滞納者の管理など、賃貸物件の管理業務は多岐にわたるため、個人ではなく信頼できる管理会社へ委託する方が安心でしょう。

管理会社を選定する際には、以下のようなポイントがあります。

管理手数料

管理手数料は管理会社によって異なるので、選定する際の基準の1つになるでしょう。一般的に家賃の5%ほどで受けている会社が多いですが、中にはそれよりも低い手数料の管理会社もあります。

また、管理業務の一部を大家が受け持つことで格安の手数料で受ける会社もあります。このように、管理会社にどこまで委託するのかによっても手数料が変動するので、いくつかの会社と相談して条件の合うところを探すと良いでしょう。

入居率

管理会社は数多くありますが、会社ごとにさまざまな違いがあります。その中でも入居者を集める力の有無は賃貸経営には最重要項目です。

担当している物件の入居率が、おおむね90%以上で推移している管理会社を選ぶと安心です。近年は、賃貸物件をWebで探す方が多いため、大手の賃貸情報サイトに情報を掲載しているかどうかもポイントになります。

④適切な間取りで建設する

賃貸併用住宅を建築する際、賃貸部分の間取りをどのようにするのかは大きなポイントです。適切な間取りで建設しなければ、入居率が下がってしまう恐れがあるからです。

建築する地域では、単身者が多いのかそれともファミリー層が多いのかなど、周辺の賃貸物件の入居者の層を下調べしておき、ターゲットを絞っておくことが重要です。

ターゲットに合わせた間取りで建設することで、安定した入居率が見込めるでしょう。

賃貸併用住宅の経営モデル

賃貸併用住宅について、さまざまな角度から解説してきました。ここからは、実際に賃貸併用住宅での収益やコストなどはどのような感じなのか、経営モデルを参考に解説します。

収益の内訳

賃貸併用住宅の賃貸部分が2戸あり、家賃が月8万円、礼金は1ヶ月分と設定した場合の収益は以下のとおりです。

家賃収入 80,000円×2×12=1,920,000円(年間)
礼金 80,000円(入居時に発生)
更新料 契約更新時に発生

上記の家賃収入の金額は賃貸物件が埋まっていることを前提とした金額となっています。空室が出てしまうとこの金額は実現せず、収益が下がることとなってしまうのです。

ランニングコスト(支出)

賃貸併用住宅には、ランニングコストもかかります。具体的にはどのようなものがあるのか詳しく解説します。

ランニングコストの具体的な内訳・計算方法

固定資産税 賃貸併用住宅の場合、軽減措置あり
火災保険料 年間10,000~20,000円
管理費用 家賃の3~5%
修繕費用 退去時の状態による

火災保険料は、補償の範囲によっても金額が異なります。また、地震保険も合わせると10万円以上になることもあります。

また、修繕費用は入居者が退去する際の室内の状態により変動があり、経年劣化による修繕もあるため、長期的に予算の計画を立てておく必要があるかもしれません。

ランニングコストの注意点

賃貸併用住宅の場合、ランニングコストを計算する際に注意が必要です。

固定資産税や保険料、住宅ローンの利子などは、自宅にかかる部分と賃貸部分とで分けて計算しなければなりません。また、共用部分の光熱費や通信費などについても分けて計算する必要があります。

家事消費の分を按分して計算したランニングコストは、賃貸部分の経費として計上できます。

初期費用の内訳

自宅部分を3LDK〜4LDKとし、賃貸部分も同規模で建設する場合、広さは2階建てで50〜60坪が必要です。坪単価を60万と仮定した場合の初期費用は、以下のとおりです。

建築費用 3,000万円
造成費用 200万円
家具・家電購入費用 200万円
諸費用 100万円

賃貸部分の建築に関しては、自宅部分よりも仕様や設備を下げることでコストを抑えることも可能です。

まとめ

この記事では、賃貸併用住宅についてあらゆる角度から解説しました。

さまざまな理由から、賃貸併用住宅は危険だという意見もあることがわかりました。しかし、いくつかのポイントに注意してうまく活用することで、住宅ローンの負担を軽くしたり、各税金の軽減措置を受けたりすることができます。

土地活用の方法として賃貸併用住宅の建設を検討中の方は、この記事の内容をぜひ参考にしてみてください。