アパート経営

不動産賃貸業の職業分類は貸付業?アパート経営の業務分類を徹底調査!

2023年7月26日

収入をアップさせたいと、副業として不動産経営を検討している方も多いのではないでしょうか。不動産賃貸業を始めるなら、業種について詳しく知ることが大切です。

この記事では、不動産賃貸業の職業分類について詳しく解説していきます。職業欄の記載方法や必要な届け出なども紹介するため、不動産業が気になっている方は、ぜひ参考にしてみてください。

目次

不動産賃貸業とは?不動産業界の分類

ここでは、不動産賃貸業について解説していきます。不動産業の業種は大きくわけて4つに分類されます。それぞれの特徴を紹介していくので、自分にあった不動産業を見つけてみてください。

不動産開発業

不動産開発業は、オフィスビルや商業施設・分譲マンション・物流施設などの開発が主な業務です。別名デベロッパーとも呼ばれ、開発した物件の分譲や賃貸も行います。生活する上で必要不可欠な物件を扱うことが多く、入居者が長期間入居する傾向があるのも特徴です。

莫大な建築費用がかかるため、充分な土地や資金を持っている財閥系や大手の不動産会社が該当します。そのため、不動産開発業を個人で行うのは難しいでしょう。

不動産仲介業

不動産の売買や賃貸を仲介する業務を行うのが、不動産仲介業です。宅地建物取引業法の免許がなければ、不動産仲介業は行えません。不動産仲介業者は、不動産のオーナーや購入・賃借希望者との間に立ち、両者の要望や条件を考慮しながら取引を進める役割を果たします。

不動産の取引はさまざまな契約や手続きが必要となるため、仲介業者はオーナーや賃借希望者のサポートを行う必要があるでしょう。不動産開発業と同様のデベロッパー系や中小不動産会社・フランチャイズなど、さまざまな企業形態で行っています。

不動産管理業

不動産管理業は、不動産オーナーの代理として不動産資産の管理・運営を行います。オーナーの利益や物件の価値を最大限保ちながら、入居者との契約管理やメンテナンス・収支管理などが主な業務です。

入居者の募集や申し込み受付なども不動産管理業にあたり、オーナー自ら行うこともありますが、手が回らない場合は管理会社に委託する場合もあります。不動産管理業を行う際の免許などは必要ありません。

不動産賃貸業

不動産賃貸業は、不動産の所有者として物件を賃貸し、入居者との間で賃貸契約を結ぶことによって収益を得る事業です。不動産賃貸業者は、物件の管理・運営や入居者の募集・審査、契約管理、トラブル対応などを行いますが、これらの業務は管理会社へ委託することもできます。

不動産賃貸業を行うにあたって必要な資格や届出などはありません。不動産を購入する資金がある方なら誰でも始められます。

日本標準産業分類によると「貸家業」が正式な職業名

個人で不動産経営を行う場合、アパートやマンションのオーナーになり、不動産賃貸業に携わることになるでしょう。その場合、正式な職業名は不動産賃貸業ではなく貸家業となります。

日本にある職業は、日本標準産業分類によって細かく分類されているため、自分が行っている仕事が何に分類されているのか、チェックしておくことが大切です。日本標準産業分類では、業種を大分類・中分類・小分類に分けて区分しています。

日本標準産業分類をチェックしてみると、不動産経営の大分類は不動産業です。物品賃貸業と同じ分類になっており、何かを貸す仕事としてまとめられているようです。

不動産経営の中分類は、不動産賃貸業・管理業に分類され、小分類は不動産賃貸業と貸家業・貸間業の2種類に分類されます。

日本標準産業分類には、貸家業の定義として、「主として住宅(店舗併用住宅を含む)を賃貸する事業所をいう」と記載があるため、アパートやマンションのオーナーは貸家業といえるでしょう。

一方、不動産賃貸業はオフィスや土地・物流施設などが該当します。ただし、アパートやマンション経営も不動産賃貸業といっても間違いではありません。

【パターン別】職業欄への記載の仕方

ここでは、アパートやマンション経営者の職業欄記載方法をパターン別に紹介していきます。

確定申告など書類の提出が必要な手続きでは職業欄への記載を行う可能性があります。その際に、アパートやマンションの経営をしている方は、どのように記載すれば良いのでしょうか。

アパートやマンション経営の職業欄記載方法は、副業・個人事業主・法人で異なるので、それぞれの記載方法を知っておかなければなりません。ここでは、それぞれの記載方法を詳しく、紹介するので、ぜひ参考にしてみてください。

副業で不動産賃貸業をする場合

副業で不動産賃貸業をする場合、職業欄への記載は、メインで行っている職業を記載してください。会社員の方は「会社員」、医師の方は「医師」と記載します。

副業を記載する欄がある場合は、「不動産賃貸業」と記載しましょう。これにより、メインの職業と副業の両方が正確に記載され、副業として不動産賃貸業を行っていることが示されます。

ただし、職業の記載方法については、場合によって個別の要件や指示が存在する場合もあります。書類の提出先や所属する組織に確認しておくのがおすすめです。

法人化せず個人事業主で不動産賃貸業をする場合

個人事業主として不動産賃貸業を営む場合、職業欄には「不動産賃貸業」や「貸家業」と記載しましょう。個人事業主やフリーランスは職業ではないため、そのまま書類に記載することはできません。具体的な職業として、「不動産賃貸業」「貸家業」と記載するようにしてください。

法人化して不動産賃貸業をする場合

法人化して不動産賃貸業をする場合は、職業欄に会社役員と記載してください。法人化しているということは、会社を経営しているということです。会社に勤めている場合、どの役職に就いていても会社員と記載します。

代表取締役などと記載せず、会社役員と記載するのが無難でしょう。1人で会社を経営している場合でも、代表取締役は役員であるので、会社役員と記載して問題ありません。職業の記載が選択式になっており、「会社経営」という項目がある場合は、そちらを選びましょう。

【その他】他の状況で職業欄を記載するには?

確定申告だけでなく、日常生活の中でも職業を記載する機会があるのではないでしょうか。ここでは、クレジットカードの申し込みや子どもの学校に提出する書類などに職業を記載する方法を紹介します。

クレジットカードの申し込みやローン審査

クレジットカードの申し込みやローン審査の場合、自由に記入できるなら「不動産賃貸業」もしくは「不動産貸付業」と記載しましょう。選択方式の場合は、副業の方はメインの職業を、個人事業主の方は自営業を、法人化している方は会社役員を選択してください。

クレジットカードの申し込みやローン審査に職業を記載するのは、返済能力があるか判断するためです。審査基準は各社によって異なりますが、審査に影響が出るため職業欄は正確に記載しましょう。

子供の学校や習い事

子供の学校や習い事で職業を提出しなければならないときは、「自営業」「個人事業主」「不動産賃貸業」などと記載しましょう。

学校や習い事に提出する書類は、基本的に職業を自由に記載できます。ただし、自営業や個人事業主と記載すると、時間の自由が効くからとPTAの役員や習い事の手伝いをお願いされるかもしれません。

また、ほかの保護者の方も目にする書類で、自分の職業を知られたくない方は、自営業や個人事業主と記載するのがいいでしょう。

不動産賃貸業は資格や届け出が必要?

ここでは、不動産賃貸業に必要な資格や届出について解説していきます。不動産賃貸業を始めるにあたって、どのような資格や届出が必要なのでしょうか。不動産賃貸業を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。

必要な資格は特にない

不動産賃貸業を始めるにあたって、必要な資格はありません。ただし、資格や認定を取得することで、信頼性や専門性を高めるために役立つ場合もあります。

その代表的な資格が、宅地建物取引主任者です。宅地建物取引主任者とは、不動産取引の主任者として業務を行うための資格です。宅地建物取引業に必要な資格のため、アパートやマンションの経営をするためには必要ありませんが、専門的な知識を持っている証拠となるため、信頼度が上がるでしょう。

開業届は必ず提出する

不動産賃貸業に必要な届出は、開業届です。開業届は、所轄の税務署に提出しましょう。開業届の正式名称は「個人事業の開業届出・廃業届出等手続」といい、提出書類は国税庁のHPからダウンロードできます。

開業届を出すことで、不動産所得を給与所得と合算し、損益通算を行うことが可能です。損益通算を行うことで、不動産投資でマイナスになった分を給与所得に追加でき、節税対策を行うことができます。

また、青色申告承認申請書も提出するようにしましょう。青色申告特別控除を受けるために必要な書類で、具体的な書式や提出先は、国税庁や地方税務署の指示に従ってください。青色申告にすることで、白色申告よりも50万円ほど控除を受けることが可能です。所得税を軽減するために使えるので、必ず青色申告承認申請書も提出するようにしましょう。

規模が大きくなったら法人化するのがおすすめ

個人事業主や副業として不動産経営を始め、規模が大きくなった場合は、法人化するのがおすすめです。

法人化すると個人事業主では得られないメリットを受けることができます。社会保険の加入や手続きが必要になりますが、経費の枠が増えることで節税ができたり、融資を受けやすくなったりするなどのメリットが出てくるでしょう。

ここでは、法人化するメリットを3つ紹介していくので、ぜひ参考にしてみてください。

法人税を利用することで税負担を減らせる

法人化のメリットのひとつは、税負担の軽減です。

法人化すると法人税の対象となり、所得に対して法人税率が適用されます。通常、所得税は所得によって税金が高くなっていくので、所得が上がればその分税金も高くなってしまうのです。

しかし、法人税率は800万以下の場合は19%、800万以上の場合は23.2%に設定されており、それ以上上がることはありません。

このため、法人化により税率の低い法人税が適用されることで、税負担が軽減される可能性があります。

給料を経費計上することでさらなる節税効果が見込める

法人化によるメリットのひとつとして、給料を経費計上することでさらなる節税効果が期待できることがあげられます。

法人は従業員に対して給料を支払う際、経費として計上することが可能です。経費の計上によって課税所得が減少し、税負担が軽減されることがあります。

ただし、税務上のルールは複雑なので個人での判断は違法になるリスクも伴います。税務の専門家や会計士のアドバイスを受けながら、法人化後の給与体系を計画・運用することがおすすめです。

経費の枠が増える

経費の枠が増えるのも、法人化のメリットです。

個人事業主から法人への移行によって、経費の範囲が拡大することがあります。個人事業主の場合、生命保険や退職金・給与を経費として計上することはできませんが、法人では経費として計上することが可能です。

そのため、さらに多くの経費を事業費として計上することができ、税負担の軽減につながります。節税対策につながるため、不動産経営が軌道に乗った際は法人化を検討してみましょう。

法人化の流れ

ここでは、法人化する際の流れを紹介していきます。法人化のメリットを考慮した結果、不動産賃貸業の法人化に踏み切りたくなったときのために、基本的な流れを確認しておきましょう。

1.会社定款の作成

まずは、会社定款の作成を行いましょう。会社定款とは、会社の設立時に作成される重要な文書です。会社の設立に関する基本的な事項や会社の組織・運営に関するルールや規定が記載されています。

株式会社の場合、定款を認証してもらわなければ法人化はできません。定款の認証が必要ない合同会社もひとつの方法です。

どちらの方法で法人化するかは、税理士と相談の上決定することをおすすめします。

2.資本金を用意する

法人化する際に必要な資本金を準備します。資本金の額は会社の形態や法的要件によって異なるでしょう。

資本金は法人化後の事業運営に必要な支出や投資に使用されます。資本金を使途ごとに明確に計画し、事業に必要な運営資金や設備投資・開業準備費用など、適切に活用することが重要です。

ただし、資本金が1,000万円以上になると、消費税の申告義務が発生します。資本金が1,000円以上の場合は、忘れずに申告するようにしましょう。

3.法人登記する

最後に、法人の設立登記を行います。登記手続きは、所在地の地方裁判所や登記所で行ってください。法人登記とは、法人を公的な記録に登録する手続きのことです。法人登記により、法人は法的に存在するものとして扱われ、法的な権利や責任を有することができます。

必要な書類としては、商号登記申請書・定款・出資者の同意書・代表者の選任書などがあります。また、登録免許税として費用がかかるため、忘れずに資金を用意しておきましょう。

まとめ

アパートやマンションを経営する際の正式な職業名は、貸家業です。不動産業界の業種は大きく分けて4つに分類され、個人が副業や個人事業主として不動産経営をする場合は、不動産賃貸業が該当します。

アパートやマンションのオーナーになる場合の正式名称は貸家業ですが、提出書類などの職業欄に記載する際は、不動産賃貸業と記入しても問題ありません。経営が軌道に乗った場合、節税対策として法人化を検討してみましょう。

不動産経営を始めたいと考えている方は、税理士やアパート経営のプロに相談しながら行うのがおすすめです。