アパート経営

アパート経営は貸付業?確定申告時や職業欄の書き方などを詳しく解説!

2023年2月16日

アパート経営をはじめると、確定申告やローン審査などさまざまな書類を書くことが増えます。いざ記入しようとしたとき、職業欄になんと書けば良いのか悩んだことがある方もいるかもしれません。また副業としてアパート経営をされている方は、本業を記入するべきなのか迷ったこともあるのではないでしょうか。

今回はアパート経営が何業なのか、確定申告などの職業欄にはなんと書けば良いのか詳しく解説していきます。アパート経営を法人化している場合、そうでない場合の書き方についても紹介するので、職業欄の書き方に悩んでいる方はぜひ参考にしてみてください。

目次

アパート経営は何業?書類ごとに確認!

アパート経営は国が定める職業分類では「貸家業」と分類されています。では、職業欄に貸家業と記入すれば良いのでしょうか。結論から言うと、アパート経営は「不動産貸付業」と記入するケースが多いです。

ここでは確定申告などの職業欄への書き方や注意点、分類項目の違いについて解説していきます。

確定申告では「不動産貸付業」

アパート経営で得た家賃収入は毎年確定申告する必要があり、申告書には氏名や住所、生年月日のほかに職業を記入する欄があります。職業がアパート経営のみの場合、確定申告書の職業欄には「不動産貸付業」と記載しましょう。

確定申告書に職業を記入する理由は、都道府県が事業の種類によって個人事業税の課税税率を定めているからです。都道府県が定める業種は70種類もあり、業種によって3〜5%の個人事業税を定めています。

 

区分税率事業の種類
第1種事業

(37業種)

5%物品販売業運送取扱業料理店業遊覧所業
保険業船舶定係場業飲食店業商品取引業
金銭貸付業倉庫業周旋業不動産売買業
物品貸付業駐車場業代理業広告業
不動産貸付業請負業仲立業興信所業
製造業印刷業問屋業案内業
電気供給業出版業両替業冠婚葬祭業
土石採取業写真業公衆浴場業

(むし風呂等)

電気通信事業席貸業演劇興行業
運送業旅館業遊技場業
第2種事業

(3業種)

4%畜産業水産業薪炭製造業
第3種事業

(30業種)

5%医業公証人業設計監督者業公衆浴場業

(銭湯)

歯科医業弁理士業不動産鑑定業歯科衛生士業
薬剤師業税理士業デザイン業歯科技工士業
獣医業公認会計士業諸芸師匠業測量士業
弁護士業計理士業理容業土地家屋調査士業
司法書士業社会保険労務士業美容業海事代理士業
行政書士業コンサルタント業クリーニング業印刷製版業
3%あんま・マッサージ又は指圧・はり・きゅう・柔道整復

その他の医業に類する事業

装蹄師業

引用元:個人事業税 | 税金の種類 | 東京都主税局

 

東京都の不動産貸付業の個人事業税を確認すると5%となっています。また、アパート経営と兼業で駐車場経営もされている場合は駐車場業に該当する可能性もあります。収入が多いほうの職業を記入するのが一般的ですが、悩んだ場合は税務署へ確認しておきましょう。

国が行う統計資料では「貸家業」

確定申告では不動産貸付業でしたが、国の統計資料でアパート経営を分類すると「貸家業」に該当します。

国が発表している「総務省統計局 日本標準職業分類の業種(産業)分類コード表」には、不動産貸付業は記載されていません。不動産賃貸業の記載はありますが、こちらは不動産業者を指しているため、アパートを経営しているオーナーの職業とは意味合いが異なります。

統計資料内の「不動産賃貸業」「貸間業」との違い

総務省が発表している統計資料には、貸家業と似た言葉に「貸間業」があります。「不動産賃貸業」「貸家業」「貸間業」それぞれの違いを簡単にまとめると以下の通りです。

  • 不動産賃貸業…主に事務所や店舗、土地など住宅以外の不動産を賃貸する事業
  • 貸家業…主に住宅(店舗併用住宅を含む)を賃貸する事業
  • 貸間業…専用又は共用の炊事用排水設備がなく独立して家庭生活を営むことができないような室を賃貸する事業所

不動産賃貸業は住宅以外の不動産賃貸を行う事業と分類されていて、アパート経営のような住宅の場合は貸家業、部屋の場合は貸間業と細かく分けられています。貸家業と貸間業は混在されがちですが、貸家業は建物まるまる一軒分、貸間業は一部屋(建物ごとではない)と覚えると良いでしょう。

場合によっては「無職」になることも

専業としてアパート経営をしていると、場合によっては無職とされるケースもあります。アパート経営で得た家賃収入は不労所得に該当するため、オーナーとして仕事をしていなければ実質的に無職とされるでしょう。

特に不動産業者へアパートの管理を任せている場合は、入居者とのやりとりや清掃等、オーナーの仕事としてすることはほぼありません。

オーナーとして仕事をしていれば職業になる

アパート経営していてもただ家賃収入を得ているだけでは、不労所得とみなされ無職です。総務省が発表している日本標準職業分類の一般原則では、「仕事をしないでも収入がある場合は職業に従事していることにはならない」とされています。

しかし、「アパート経営・貸金などを業として営んでいると判断される場合は、それを職業とみなす。」とただし書きがあります。つまり家賃収入だけでなく、オーナーとして仕事をしていれば、不動産貸付業や貸家業と名乗っても問題ありません。

アパート経営の職業欄の書き方は?

 

アパート経営を始めると確定申告やローン審査、国勢調査など、さまざまなシーンで職業を記入することがあります。業種としては不動産貸付業であるアパート経営ですが、企業に属しているわけではないので不動産仲介とは記載できません。

ここでは「法人・個人・副業」でアパート経営している方の職業欄の記入方法について、それぞれご紹介します。

法人化しているなら「会社役員」

アパート経営を法人化しているのであれば、職業欄へ「会社役員」と記入できます。自由記入式の場合なら、会社役員のほかに「会社社長」や「経営者」と記入しても問題ありません。

ただし、記入する書類によってはどのような業種の会社役員なのか確認されるケースもあるので「不動産貸付業の会社役員」など詳しく記入するのがおすすめです。

アパート経営の法人化は、固定資産税や保険料が経費にできたり、損失を繰越控除できたりとさまざまなメリットがあります。また、塗装業などと併用して法人化することも可能なので、経営が安定してきたら法人化を目指してみるのもおすすめです。

法人化していないなら「自営業」

法人化せず、個人事業主としてアパート経営を行っている場合の職業欄は「自営業」になります。より詳しく記入を求められたときは「不動産貸付業」と記入しても差し支えありません。「大家」「家主業」「アパート経営」と具体的に記入したほうが良いケースもあります。

また、自営業と似た職業に「自由業」がありますが、フリーランスの意味合いが大きいため、記入するなら自営業のほうが無難です。

副業としてなら本業の方を記入する

副業としてアパート経営をしている場合、職業欄には本業を記入します。本業でサラリーマンをしている場合は「会社員」、公務員であれば「公務員」と記入しましょう。公務員は副業が禁止されていますが、一定の条件をクリアしていればアパート経営が可能です。

自営業と記入しても問題はありませんが、クレジットカードやローンの審査は、安定した収入があるかで判断しているので、わかりやすく会社員と記入するほうが通りやすいでしょう。

職業欄を書く上で気を付けたいシーン

 

職業欄は日常のさまざまなシーンで記入することがありますが、気をつけなければ不利益になるシーンもあります。

ここからは、次の2つのシーンでの記入例について確認していきましょう。

  • クレジットカードの申請やローン審査の職業欄
  • 子どもの学校や習い事の職業欄

クレジットカードの申請やローン審査の場合

クレジットカードやローン審査の職業欄は、申請者に支払い能力があるかを判断するために重要な項目です。書き方によっては十分な支払い能力があるにも関わらず、審査に落ちてしまう可能性があるため、注意して記載しなければなりません。そのため、職業欄を記入するときは「自身の現状に一番近い職業」を選択するのがおすすめです。

職業欄が選択式の場合と自由記入式の場合で記載方法が異なるので、以下を参考に記入してみましょう。

記入欄

記載方法

選択式の場合・アパート経営が専業の場合→自営業

・アパート経営が副業の場合→本業(会社員、医師など)

・アパート経営を法人化している場合→会社役員、会社社長

自由記入式の場合・不動産貸付業

・不動産賃貸業

 

なお、カードやローンの審査基準は各社によって異なるため、上記の書き方で必ず審査が通るものではありません。記入方法で悩んだ時は、申し込み前に担当者へ現状を伝えて記入方法を聞くのもおすすめです。

 

子どもの学校や習い事の職業欄の場合

子どもの学校や習い事の提出資料に職業欄がある場合は、緊急時のお迎えや学校行事へ参加しやすい職業か確認する目的があります。職業欄を記入する時は自営業や個人事業主、不動産賃貸業など、わかりやすい職業名を記入するのがおすすめです。

ただし、学校や習い事によっては、PTAなどの役員候補に選ばれたり、習い事の送迎やイベントのお手伝いを頼まれたりする可能性もあります。あまり表立った役割をしたくない場合は、記載方法に工夫が必要です。また、ほかの保護者にアパート経営がバレたくない場合も、自営業や個人事業主など少しぼかして記入するほうが良いでしょう。

まとめ

 

アパート経営は形態によって職業の書き方に悩みがちです。確定申告や国勢調査のように職業分類が決まっている場合は、記載された通りに選択すれば問題ありません。自由記入式の場合は「不動産貸付業」や「不動産賃貸業」を選ぶと良いでしょう。クレジットカードやローンの審査など信用問題が関わってくる場合は、現状に近しい職業を記入するのがおすすめです。

いずれにしても職業欄には、なぜ職業を書く必要があるのか、なんの目的で聞かれているのかを考えて記入するとわかりやすいのではないでしょうか。迷ったときは書類の記載例を確認したり、書類を提出する部署や担当者に問い合わせたりしてみましょう。